Chapter 28-5
それからの1週間は、後々振り返ると本当にあっという間だった。
毎日朝から晩まで、外の敵を相手に鍛える。普通なら、1週間やそこらでしっかりした実力の向上は望めない。しかし、モンスターが強大になっている今は、事情が違った。
アルム「…っ、はぁ、はぁ…!」
特訓も5日目に入ったこの日。群れで現れたシルバーデビルの最後の1匹を斬り捨て、アルムはそばにある木にもたれかかった。ちょうど草原と森の境であるここは、なかなか鍛えるのにいい場所だった。もちろん、ピンチになったら逃げられるよう、キメラの翼は常に用意してある。
その時、また敵が現れた。アークデーモン2匹のようだ。
アルム「…やってやる!」
再び剣を握り締め、アルムは向かっていく。先制攻撃を決めると、素早く後ろに回り込んで一閃。強力な攻撃を盾で防ぎつつ、こちらも呪文で応戦。この辺りの敵であれば、1対2や1対3程度なら互角に戦えるようにはなっていた。
アルム「…うおぉぉぉっ!!」
声を上げて、アルムは真空斬りを放つ。アルムにとって原点とも言える、彼の十八番の剣技だ。
竜巻の力を借りたアルムの剣は、アークデーモンの巨体を切り裂いた。1対1になれば、勝ったも同然である。素早く懐に入り、剣を思い切り突き入れた。
アルム「…よし…!」
短い呟きは、戦闘の終了を意味した。敵の攻撃で受けた傷を、ホイミで癒す。そして一息つけば、またモンスターとの戦いが始まる。結局、アルムは7日間ずっとこれを繰り返した。
◇◇◇
そして、いよいよラダトームに突入する日がやってきた。
ラルド「…しかし、私たちの時といい、今回といい…ラダトームは何回敵に侵されるんだ」
アレク「まったくだね…。でも、やらなきゃね。頑張ってきてよ!」
クラリス「ええ、あなたたちもね!」
ラダトームに向かうメンバーは、ラルド、クラリス、アルム、レイシア、タア、ユリス、リズ、そしてアリュード。残る8人がルプガナに残留することになった。
ラルド「準備はいいな。よし、クラリス、頼む」
クラリス「行くわよ…ルーラ!」
海を隔てた大陸、アレフガルドの中央にあるラダトームを目指し、8人は空の彼方に消えていった。