Chapter 28-3
言われて3人ははっとした。魔王の片腕として君臨し、最後は竜王の城でクラリス自身が決着をつけた、グループの幹部だった男。
「「「デルタ…!?」」」
3人の声が、見事に重なる。クラリスは「そうなの」と頷いてみせた。
クラリス「1週間ほど前に、暇を見てムーンブルクに帰った時に、父にグループについて聞いてみたの。そうしたら、父が言うには、デルタって名前もまた本名じゃないらしくて。この4つの名前は、みんな古代の文字からとられているそうよ」
キット「それは…驚きましたね。敵があの暗殺組織だったというのもさることながら…特に名前の件に関しては…」
長年盗賊として、ある程度の情報の中で生きてきたキットも、これについては驚きを見せた。また、それはラルドも同じであった。
ラルド「全くだ…これで、奴らに関しては問題は今のところあと1つになったな…」
アレク「…あと1つあるのかい?」
ラルド「ああ。みんな忘れるな、集団で見ての名前は知れたが、まだ個人の名前は1人として分かってはいない」
確かに、とキットが気付く。しかしそこは年長者、落ち着いた様子で処理する。
キット「そうですね、では、名前が古代文字からとられているそうなので、少し古代の文献をあたってみましょう。意味だけでも分かれば、少しは名前の特定に近づきますから」
クラリス「私も一緒に調べるわ。また父に色々聞いてみたいし、調べものなら都合がいいから」
ラルド「そうだな…よし、頼んだ」
こうして、会議は一応の終わりを見たのであった。
◇◇◇
クラリス「…というわけなのよ。それで、今調べてる途中なんだけどね」
ラルド「そういうことだ。そして、お前たちには重要な事を告げておく必要がある」
重要な事、そう言われてアルムもレイシアも気を引き締める。言ってしまえば、ここまでも決して気を緩めてはいなかったのだが…それでも、次の言葉には度肝を抜かれた。
ラルド「…我々は、1週間後にラダトーム城に突入し、大臣エルガと天上軍の兵士たちを打ち倒す」