Chapter 28-2
アレク「少し前に、3グループぐらいに分かれて行動した時期があったよね?」
ラルド「ああ…その時に会った、というのか?」
アレク「そうだよ。ズバリ言うと…もう1人は今、エルガって名前でラダトームの大臣になってる…」
ラルド「何だって…!?」
普段冷静なラルドも、この話には驚きを隠せなかった。
アレク「調べてみたんだ。直接会って話もした。まあ、その時はまだ分からなかったし、すぐ追い返されたんだけどね」
アレクは机に置かれた紙とはまた別の紙を出して広げた。そこには、アレクがあちこちで聞き込みをしたであろう跡があった。
キット「これだけの情報をよく得られましたね…」
アレク「それはどうもありがとう。で、調べた結果なんだけど…前の大臣が亡くなったのは、病気のせいじゃなくて、誰かに毒を盛られたせいみたいなんだ。それで、エルガが大臣になってすぐ、国王が倒れてる。明らかに怪しいと思わない?」
ラルド「ああ。もしかすると、今回のラダトーム軍解散と天上軍のラダトーム侵攻は仕組まれたものだったのかも知れないな」
クラリス「ええ…その大臣に話をしてみる必要があるみたいね」
全員が頷き合う。今までばらばらになっていたことが、徐々につながってきた。
キット「クラリス、もう1つだけいいですか?少なからずグループと関わりを持つあなたの存在が、敵に知れているのではありませんか?現にテパの森ではしっかり見ているはずですが」
クラリス「それに関しては問題ないわ。父はグループでもかなり下っ端の方だったから。あんな上層部のやつらが、下っ端の娘を知っているはずがないわ」
キット「それもそうですね。すみません、水を差したようで」
クラリス「気にしないで。それから…もう1つ言っておくことがあるの」
「これが最後の話だから」と告げて、一呼吸おいてからクラリスは口を開いた。
クラリス「今回の向こうの動機なんだけどね、ひょっとしたら3年前のことが絡んでるかも知れないのよ」
アレク「3年前って、キースたちと旅してた時のこと?」
クラリスは「そうよ」と頷き、3人に問いかけるように言った。
クラリス「覚えてるかしら?あの時の魔王軍の中に1人だけ、キルズグループから入ってた敵がいたこと…」