Chapter 27-11
みんなを探して屋敷をさまよっているうちに、アルムはとある部屋から漏れる声を聞いた。一瞬空耳かとも思ったが、壁に耳を押し付けてみると、確かに誰かが中にいることが分かった。
???「おれの番だな…よし!4だ!」
???2「じゃーねー…5!」
???3「あっ…それダウトー!!」
???2「はっずれー♪」
???3「うわ、クイーンだ!あちゃー、またやっちゃったよ…」
…一体何をしているんだ?アルムはそう訝った。何やら聞き慣れない言葉もいくつか聞こえてきたし。ドアを開けて中の人物もろとも確認すればよいものを、なぜかますます耳を押し付けて聴覚情報だけを得ようとする。
すると、突然その壁がせり出してきた。いや、正確に言えば、アルムが耳を押し付けていたドアが内から開かれたのだが、少なくともアルムにとっては壁が動いたように感じた。
???「やけに重いな…あれ、アルムじゃんか!?」
アルム「あっ、エド!久しぶりだね!」
???2「えっ、アルムが戻ってきたのー!?」
一番に顔を合わせたエドの後ろから、足音が聞こえてきたかと思えば、すぐに笑顔が現れた。アルムはその笑顔に、自身も笑顔を返した。
アルム「ルーナ!元気だった?」
ルーナ「とーっても!あっ、でもアルムたちがいなくてちょっと寂しかったかなー?」
アルム「あはは…ぼくの方こそ、だよ」
ルーナ「そうだ♪久しぶりに会ったし、アルムも一緒にトランプやろーよ!今エドたちとダウトやってるんだ、ほらほら!」
アルム「わっ、ちょっとルーナ…!」
有無を言わさず、部屋に連れ込まれるアルム。なぜかこんな時にはルーナの力が倍増するようで、ものすごい力で引っ張られていった。
アルム「…ちょっと待ってよ、ぼく「とらんぷ」とか「だうと」なんて聞いたことないし…何、このたくさんの紙切れ…?」
部屋に入ると、床に小さな紙切れが散らばっていた。しかし、この後のルーナの説明でアルムはすべてを理解した。
アルム「…要するに騙し合いなんだね」
身も蓋もない言い方に、ルーナをはじめエドたち4人は乾いた笑いを浮かべる。そしてこの後、話はアルムの予想しなかった、意外な方向へと進んでいった。