Chapter 27-10
レグルスはその反応にも動じず、微笑を湛えたままアルムに言った。

レグルス「まあ、驚くのも無理なかろうな。突然こんな老人が出てきたものでは…」
アルム「あっ、いや、そういうことじゃなくて、その…ごめんなさい…」
レグルス「なに、謝ることはないよ。私の方こそ、驚かせてしまったようだ」

そうして少しばかりやりとりをしていると、右の廊下からラルドが歩いてきた。レグルスの姿を認めると、「ああ」と右手を軽く上げ、近づいた。

ラルド「じいさん、ラダトームのことなんだが―――」

言いかけて、言葉が止まった。その理由は、ラルドの目線がレグルスからそばにいたアルムに移ったことがはっきりと表している。

ラルド「…アルム!いつ戻ってきた?」
アルム「あっ、ついさっき、ですけど…」
ラルド「そうか、無事で何よりだ。ひとまず以前の自分たちの部屋に荷物を置いて、他の者と話しておくといい」
アルム「はい、わかりました。それじゃ、また」

アルムは2人に軽く頭を下げ、左の廊下に歩いていった。その様子を見ていたレグルスが、笑いながらラルドの方を向いた。

レグルス「…彼はまだ若いのにしっかりしているな。おまけに謙虚だ」
ラルド「…その謙虚さが、少し行き過ぎる部分もあるんだが…な」
レグルス「しかし、我が孫ながら、あれだけの生徒さんを1年間教えたとは、私も鼻が高いよ」
ラルド「…よしてくれよ。私だけの力じゃなかった…それに、私たちは重大なミスを犯している」

そう呟くラルドの表情は、重く苦いものだった。

◇◇◇

ドアを開けると、懐かしい光景が目に入ってきた。4人で寝た場所、4人で囲んだテーブル、時たま暴れた台所、セリスが蹴り飛ばされた脱衣室…たった4ヶ月ぐらいのことなのに、とても懐かしい。
自身の荷物を置いて、ふとその隣に置かれている荷物に目を向けると、目に入ったのは短剣、爪、そして鞭。それらを見るだけで、アルムの脳裏には仲間の顔が浮かんだ。


また、みんなに会えるんだ…!


期待に胸を躍らせ、アルムはこの屋敷のどこかにいるであろう仲間たちを探して、部屋を飛び出した。
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