Chapter 27-9
*「あれ?アルムくんじゃないか!久しぶりだね!」
アルム「あっ…どうも、お久しぶりです」
3、4ヶ月訪れていなかったルプガナの町。しかし、前に1年間過ごした町だけあって、いくつかの町人には顔と名前を覚えられていた。それを少し嬉しく思いながら、アルムは2人と一緒に歩き続ける。そして、いよいよ屋敷に戻ってきた。
アルム「何か…懐かしいな」
セリス「そうか、お前は4ヶ月ぐらい来てないんだっけな…」
アルム「うん。あのさ…セリス、ラルドさんに生徒を集めろって言った人って誰なの?」
突然の問いに、セリスは少々驚いたが、すぐに「ああ…あれね」と思い出したように言い、少しだけ笑った。
セリス「実はな、あれを言ったのはタアなんだよ。集まって動くのが嫌いなあいつが、どういう風の吹き回しなんだか」
アンナ「ま、それでもラルドさんたちがそれを受け入れたとこを見ると、判断としては正しかったんだろうけどね。ほんとびっくりだよ」
そう聞いて、アルムはぽかんとした。一瞬、誰のことを言っているのか分からなかったのだ。
「予想通りの反応だ」とばかりに、2人は笑う。
アルム「そう…珍しいこともあるんだね」
わずかに乾いた笑顔で、アルムは屋敷の扉に手をかけ、手前に引いた。
中はほとんど変わっていなかった。広い廊下が、左右に伸びている。正面には開かれた扉があり、大広間が見えるようになっていた。
セリス「さてと…俺たちの役目はここまでだ。あとは、1人でぶらっと歩いてこい。懐かしい顔が待ってるからよ」
アンナ「そうだね。それじゃ、あたいらはここで。また後でね」
アルム「ああ、うん、分かった。2人とも、ありがとう」
2人と別れ、アルムはもう一度屋敷の中を見回す。少し変わっているのは、お手伝いさんらしき人が右へ左へと忙しく動いていること。しばらくそれを大変だなぁと思って観察していると、1人の男性がアルムに話しかけてきた。
???「アルムくんだね。ようこそ、待っていたよ」
アルム「あっ、初めまして!あの…あなたは…?」
初対面の相手が自分の名前を知っていたので、アルムは少し慌てたが、相手は実に落ち着いた様子でこう答えた。
???「私はレグルス=アーロン。一応この屋敷の当主で、ラルドの祖父でもある」
アルム「ああ…そうだったんで…えぇーっ!!?」
この日最大の声が、アルムの口から飛び出した。