Chapter 27-6
アルム「ぼくは…「選ばれし者」じゃなかったんだ」
セリス「何だって…?」
アルム「天界王はぼくを殺すために、そう言ってぼくを騙していた。最後の最後でそう告げられたんだ。やっと分かったんだ、ぼくなんかに世界を動かすことなんてできないって。結局ぼくは、ただの1人の人間なんだから…」

その言葉を聞いたセリスは、ふー、と1つ息を吐いた。

セリス「…お前、この3、4ヶ月の間で変わったな。1つだけはっきり言わしてもらうけどな…今のお前は何にも分かってねーよ」
アルム「………!?」
セリス「自分が「選ばれし者」じゃないって分かった途端ギブアップか?ただ世界をどうにかしたい、って気持ちはどこに行ったんだよ!」

セリスは自然と、怒鳴るような口調になっていった。

セリス「1年間一緒にやってた時はそうじゃなかっただろ!自分に関係ないことまで、首突っ込みに行ってたじゃねーか!」
アルム「…それとこれとは、話が違うよ。今は世界がかかってるんだ」
セリス「バカか!俺が言いたいのはそんなことじゃねーんだよ!」

再び黙り込むアルム。アンナはというと、普段見ないセリスの様子に半ば唖然としていた。

セリス「俺らは、あそこで何を勉強したんだよ!あきらめないこと、ぶつかってくことを学んだだろ!?…なのに、なんでそんな簡単に無理だとか出来ないだとか言うようになったんだよ!あきらめたら、そこで終わりだろーが!」
アルム「分かってるよ、そんなこと!!」

瞬間、アルムはセリス以上に大きな声をあげた。

アルム「きみは…何も知らないから、そうやって言えるんだ…!」

アルムは下を向いて、唇を強く噛んだ。もう怒鳴るだけ怒鳴ってくれ、そんな感情が頭を渦巻いた。しかし、次のセリスの口調は、静かなものに戻っていた。

セリス「…知ってるよ、全部。ラルドさんたちに聞いた、ロエンのことも、ディルさんのことも」

アルムは顔を上げた。そこにあったのは、普段は見ないようなセリスの表情だった。

セリス「むしろ、今の状況を知らないのはお前の方だ。俺たちはもう、動き始めてるんだ」
アンナ「そうさ、あたいたちが暮らした教習所は、今は立派な作戦本部さ。もうほとんどみんなが集まってるよ」
アルム「えっ…?」

戸惑うアルムに、2人はこれまでの経緯を説明し始めた。
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