Chapter 27-4
セリス「よっ、久しぶりだな。まあ再会の喜びは、後でゆっくり味わうとして…まずはやるべきことがあるよな?」
セリスはそう言うと、腰の短剣を抜いてアルムの隣に立った。
*「貴様ら…邪魔をしたな!この町を消してやるぞ!全員、かかれ!!」
憤慨した兵士は、半ば叫ぶようにそう命じた。しかし、10秒経っても20秒経っても、何も起こる気配はない。
*「なっ…なぜだ!?ええい、さっさとやらんか!」
アンナ「はぁ…あんた、ちょっとは上を見てやったらどうだい?」
*「………?」
アンナは半ば呆れ顔で、兵士に言う。それを聞いて上空を見上げると、なんと先ほどまで町の上を旋回していたドラゴンが、見当たらないではないか。
セリス「助けに入る前に、ちょっとばかし小細工させてもらったぜ。あとはお前だけだ」
*「ぐっ…おのれ、かくなる上は…!刺し違えても貴様らを殺す!」
兵士は槍を握り締め、3人の方に突っ込んできた。しかし、ただがむしゃらに突っ込んでくる兵士など、敵ではなかった。
気がつけば、セリスの短剣とアンナの扇が、兵士の動きを確実に止め、倒していた。
セリス「…こんなとこで刺し違えられたら困るんだよな、お前が良くても」
最後にそう呟いて、セリスは短剣を収めた。そして、振り向いて一言。
セリス「よし、片づいたな」
アルム「セリス…ありがとう」
落ちていた(というよりは仕方なく落としたのだが)剣を拾って、アルムはお礼を言った。町に危機が去ったと分かると、隠れていた町人たちも次々と通りに姿を現し始めた。アルムの母親も、アルムを心配して外に出てきた。
*「アルム、無事だったかい…あれ、そちらの2人はどなたさん?」
セリス「あ、初めまして。セリス=フォードです、教習所で一緒に生活してました」
アンナ「同じく。アンナ=ラグッドです」
*「そうですか、これはこれは…遠路をご苦労様。うちの息子がお世話になったみたいで…良かったら少しあがっていって下さいな」
彼女はそう言って、2人を家へと案内した。ここはお言葉に甘えようと、2人はアルムの家にお邪魔することにした。