Chapter 25-12
ダーマの港も、6人の予想通り人がごった返していた。先に進むのも一苦労、といった感じで、港にたどり着くまで十数分を要した。
しかし、彼らが乗り込んだジパング行きの船は、一転して閑散としていた。ダーマにいた大勢の人々の九分九厘はジパングを訪れるためにダーマにいたのではないのだから、当然といっては当然なのだが。
アレク「ディルたち…ロエンを助け出したと思う?」
先にジパングにいるであろうディルたちのことを思い出し、アレクはそうぽつりと言った。するとクラリスが、落ち着いた様子でその問いに答えた。
クラリス「その可能性は低いと思うわ。そうなら、おそらくセイファーか誰かが知らせに来るはずだもの」
確かに、とアレクは頷いた。
ラルド「だが、ロエンを助け出すのに失敗したのなら、それはそれで知らせが来ると思うんだが…?」
アレク「連絡がないってことは、ちょうど今ロエンを助け出してる最中だったりして…」
クラリス「それはあり得るわね。可能性としてはあると思うわ…アルムたちはどう思う?」
ぼんやり外を見ていたアルムは、突然の問いに「えっ?」と声を漏らした。それから、すまなさそうに「すみません…何がですか…?」と返し、再び質問を受けた。
アルム「ぼくは…まだロエンを助けられてはないんじゃないかなって思いますけど…」
アレク「…それはどうしてだい?」
アルム「うーん…やっぱり、助け出したらみんなで知らせに来ると思うから…」
ユリス「…ひょっとしたら、ロエンを助けた助けてないに関わらず、誰かが動けなくなったりして、そこを離れられない、みたいなこともあるかもしれません」
レイズ「うん、そうかも。他にも、今は普通に寝てるとか、ここから先は合流した方がいいんじゃないか、って考えて僕らを待ってるとか」
ラルド「ん…見当がつかないな。とりあえず、ジパングに着いてディルたちを探せば分かることだな…」
この後も、6人は船の中では専ら先発組の動向の予想をした。各々、色々な予想を立てるが、当然どれが真実なのか、また正解はあるのかはこの段階では誰にも分からない。そして、あまり悪い予想をするのではなく、なるべく良い結果を期待する6人。
そんな彼らを乗せた船は、ディルたち先発組がいるであろうジパングへと到着した。