Chapter 25-5
ラルド「信じたくはないが…つまりはお前を生き返らせたために、ガルドスはキースにやられたと言いたいのか?」
ザルグ「そういうことだ。既に言った通り、私がこの世に戻ったのは1年後だ。その時私が目にしたものは、何もかもが静かで、私の知る者慕う方は誰一人いなくなった世界だった。そこで初めて、私はガルドス様の敗北を知ったのだ」

そこまで言うと、ザルグの表情が強いものに変わった。

ザルグ「私はこの命に誓って、ガルドス様の成し得なかったことを成す。その第一歩として、キース=クランドとその仲間を抹殺する…」
アレク「お前は…僕たち3人を殺しにここに来たってことか…?」
ザルグ「但し例外がある。その後ろにいる者…アルム=レンバートを含む教習所の生徒たち。貴様らも殺す」
アルム「なっ…!?」

アルムが驚愕する。自分が殺される対象になっているからではない。今初めて対峙しているザルグが、自分の名前を知っているからだ。

ザルグ「精霊に選ばれし者、アルム=レンバート…いつか勇者と呼ばれるであろう貴様を、生かしておくわけにはいかないのだ。それだけではない、かつての勇者の仲間から直々に教えを受けている者も、危険因子だと判断した。一切の危険の芽は摘み取らなくては…3年前の屈辱から学んだことだ」
ユリス「………!!」

ユリスの表情も一変した。しかしその理由もまた、自らが危機に陥っていることを理解したからではない。

ユリス「勇者の…仲間…?」

そう呟いて、ユリスはラルドたちの方を見た。まさか、そんなことは一言だって聞いていない。アルムも同じだった。

ラルド「…まさかこんな時に、しかも敵から知らされるとは…!」

ユリスが「どういうことなんですか…?」と聞こうと口を開きかけたが、先に発せられたのはザルグのそれだった。

ザルグ「さて…早々に目的を果たしに来たつもりが、ずいぶんと長話をしてしまったようだ…。3年来の決着を、今ここでつけてやろう!」

いつからか船に降り立っていたザルグが、凄まじい気を放ちながら近づいてくる。

ラルド「…ユリス、後で説明する。今は奴に集中しろ!」

ラルドのその言葉にユリスはもちろん、アルムやレイズも気を切り替えて目の前の敵に集中した。
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