Chapter 25-1
薄暗く闇の空気に包まれた部屋に、何人かの人物がいた。ざっと見て、4人ほどだろうか。

???「…そうか、奴らはランシールからの船に乗ったか…」

その中の一番大きい男が、その場の皆に聞こえる程度の声でそう呟いた。

???2「へえ…ちょっと予想外じゃないの?ランシールに飛ぶなんて」

最も小柄な男はそう言いつつも、顔には微笑を浮かべている。

???3「奴らがどんなルートを取っても、何も問題ないわ。そうでしょ?」

その中にいる唯一の女は、大きい男にそう聞いた。

???「ああ、その通りだ。動向は全て把握できる…」
???3「それを聞いて安心したわ。じゃ、引き続きよろしく」
???「と言われても、もう後の路線は決まっている。仕事は完遂したに等しい」
???4「それで、奴らはどうするんだ?誰かが消しに行くのか?」

初めて口を開いたのは、中肉中背といった感じの、やや年を取った男。すると、大きな男が名乗り出た。

???「どうせやることがない。私が行こう」
???3「分かったわ。あなたに任せたわよ」
???「心配するな」

大男はそう言うと、羽織っていたマントを翻し、跡形もなくその場から消えた。

???3「…ところで、そっちはどうなってるの?あいつらをこっちに誘い出したんだからね?」
???4「そのことだが、実に順調だ。誰一人疑う者がいない、崩れるのはそう遠くないことだろう」
???2「何もかもが計画通り…か、まったく、順調過ぎて逆に怖いよ」

残った3人は、静かな笑みを浮かべた。

???3「手伝ってくれてるアイツには悪いけど…全てが終わった後にアイツを消せば、私たちの思いのままの世界ができあがる…!」
???4「…仲間が言うのも何だが、お前はとことん足を出さないな…?」
???3「出していれば、こんなことをやってないわ…」
???2「確かにね…!」

会話が途切れ、それぞれ別れた後、そこに1人残っていた女は、勝ち誇った笑みを浮かべて、こう呟いた。

???3「運命なんて信じない…その気になれば、いくらだって変えられる…!」

緻密な計画が今まで全て成功していることで、女は絶対的な自信を持ち始めていた。
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