Chapter 24-11
アルム「ランシール…?」
ユリス「アリアハンの西にある町…ですか?」
アレク「そう、ランシールだよ。ランシールから出てる船は、襲われないと思うよ。だから…」
ラルド「ちょっと待て」
アレクの言葉を遮って、ラルドが聞いた。
ラルド「ランシールにはどうやって行く?誰かランシールを正確にイメージできる者がいるのか?」
確かに、それが最も重要なことだ。ランシールを誰も頭に描けなければ、この話は振り出しに戻ってしまう。しかし、やや落ち込んだ表情で、アレクは小さく答えた。
アレク「ランシールの町は…僕の頭にくっきりと焼き付いてるよ…思い出したくなかった、出来れば行きたくなかった場所なんだ…」
クラリス「………」
なぜか、クラリスの顔も暗くなる。アルムたちは訳が分からなかったが、ラルドはその理由を察した。
ラルド「そうか…ランシールが「きっかけの場所」だったのか…」
クラリス「そうね…私もあまり行きたくはないわね…」
アレク「でも、今必要なのはジパングに行くことだからね。僕はみんなを、きちんとランシールまで連れて行くよ。敵からすれば、僕たちがランシールに飛ぶなんて考えてもいないだろうからね、絶対大丈夫だよ」
僕の周りに集まって、とアレクが声をかける。そして、意を決したように、彼は声を上げた。
アレク「…いくよ、ルーラ!!」
一人一人の体がふわふわと浮き上がり、勢いよく飛び出した。こうして6人は、隔絶された国からの脱出を果たした。
◇◇◇
アルムが最初に見たものは、大きな神殿だった。この町には、こんな立派な神殿があるのか、と感じた。
そしてそれと同時に、アレクたちはこの町にどのような思いがあったのだろうと気になり、一瞬聞こうともした。が、ここに着いてからずっと浮かない顔をしている彼やクラリスを見ると、とても今聞く気にはなれなかった。
アレク「やっぱり…!ダーマ行きの船もちゃんと出てる!」
アレクの予想通り、ランシールからダーマへの船は無事のようだった。これで、あとはこの船に乗り、ダーマを経由してジパングへ向かえばよい。
ラルド「よし、行くぞ!」
決意を胸に、6人は船に乗り込む。誰もが、同じ思いを抱いていた。
ロエンを、必ずこの手で救い出す、と。
〜続く〜