Chapter 24-9
ラルド「こんな感じか。では順に行くぞ」

ラルドの声に、他の5人全員が頷いた。

ラルド「まず、教習所の実習の時に船が沈み、ロエンが行方不明になった。それを知ったのが、テパに行った時だ。その夜に、私たちは森で謎の女と出くわした」

「女」と書いた字を、丸で囲む。

ラルド「彼女は自分のことについて一切話さなかった。その点が、今回キットが出会ったという男と似ている」

今度はその下に書かれた「男」という字を囲んだ。

ラルド「ここから、この2人に何らかの関わりがある可能性は非常に高い。次に、こいつらだ」

ラルドはその隣の「ファッグ、トゥーダ」と書かれた部分を指差した。

ラルド「私は直にこいつらを見ていないので、あまり良くは分からないんだが…」
アレク「そいつらのことは、アルムが知ってるよ」

アルムはこくりと頷いて、ラダトームで戦ったファッグとトゥーダのことを話した。

クラリス「なるほどね…そうなると、こいつらには頭がいることになるわね。そして、人間の言語を話せるから、その上の敵は人間かそれに似た魔族であるというわけね」
ラルド「ああ。だから、この女か男が頭だと考えれば、この敵たちは繋がるかも知れない。断定は出来ないが」

薄く、「女」「男」と「ファッグ、トゥーダ」を線で結ぶ。

クラリス「それから、忘れちゃいけないことが、いくつかあるわよね?」
アレク「うん。ディルの頭痛に、ラダトームの大臣、それから見たことのないモンスター…」
ラルド「もう1つ。私は天界や天界王も気にしている」

ラルドの言葉に、レイズが「えっ?」と反応する。

ラルド「天界の王はアルムを呼んでいるんだろう?あれからもう大分経つ。命を下したお前とセイファーは、アルムを連れて戻って来ない。普通は少なからず気になるはずだ。そう考えれば、そろそろ動き出すかも知れないからな」

ラルドの話に、「言われてみれば」と納得するアルムたち。

ラルド「とにかく、今後も細心の注意を払って動こう。今日はもう夜になる。キットの言う通り洞窟には向かわず、明日の朝ジパングに向けて出発することにしよう」

ミーティングはそこで終わった。この日は大部屋を取っていたので、全員が同じ部屋で寝る。

皆が寝静まった中で、1人眠れない者がいた。その人物はゆっくりと、他の者を起こさないように、バルコニーに出た。
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