Chapter 24-2
ドスン、という大きな音と衝撃が部屋中に響く。槌が振り下ろした音であることは疑うまでもない。その音と衝撃という2つの力で、6人全員が目を覚ました。そしてそれとほぼ同時に、6人のうちの誰のものでもない声が、彼らの耳に入った。
???「あ〜あ、せっかくチャンスだったのになぁ…」
残念そうな声は、ラルドにとって聞き覚えのあるそれだった。その言葉から察する通り、ラルドは無事であった。そして、彼は自分を襲った者に目を向け、それからその目を見開いた。
???「…なーんてね。冗談冗談!」
ラルド「…セル…か?」
◇◇◇
クラリス「…どうしてあんなことを?」
セル「いや、みんなを順番に起こすの面倒だしさ…それに、ここに来るまでずっと後ろにいて歩いてきてたのに、誰も気付かなかったから、ちょっと脅かしてやろうかと思って」
セルの言葉に、6人は「えっ?」と声を漏らして驚いた。まさか、レーベからアリアハンまでの道のり、セルが自分たちの後ろにずっといたとは、気付きもしなければ、思ってもみなかった。
ラルド「お前…それは本当か…?」
セル「こんなことで嘘ついたってしょうがないじゃん。まあ、元々気付かれないようについてっただけなんだけどさ」
見つからなかったからなのか、少し得意気な表情のセル。と、今度はアレクがセルに聞いた。これが一番重要な質問になる。
アレク「君が僕たちをつけてきてたってことは分かったけど…そもそもどうして僕たちをつけてきたんだい?」
その質問に、「そうね、そこが一番知りたい所だわ」とクラリスも同調する。すると、セルは「ちょっと長くなるけど…いい?」と言った。もちろん6人は頷く。
セル「じゃあ、ちょっと隣の部屋に来てくれない?説明はその後でするからさ」
そう言って部屋を出るセルについていく6人。隣の部屋のドアを開けたセル。そこには、彼の双子の妹―――ルイがいた。