Chapter 23-10
*「あら、ユリスちゃん!1年ぶりだねえ、元気にしてたかい?」
ユリス「はい、おばさん。おかげさまで」
*「まあ、見ないうちにずいぶんと頼もしくなって…いい顔をしてるわね。行くあてが無くなったら、またいつでもおいで。ユリスちゃんなら、大歓迎だからね!」
ユリス「はい、ありがとうございます!」

最初に「いらっしゃいませ」と機械的な挨拶をした宿屋の女将である女性は、来客の中の1人がユリスだと分かった途端に笑顔になり、カウンターを飛び出してユリスの側まで寄ってきた。

ラルド「ユリス、私たちのことは気にせずに、その方とゆっくり話をするといい。久々の再会なんだからな…」
ユリス「…はい、ありがとうございます。じゃあ…ちょっとお言葉に甘えさせて頂きます」

そうぺこりと一礼して、ユリスは女将と話を始めた。何を話しているのか気になるアルムだったが、クラリスに「私たちに2人の邪魔はできないわ」と囁かれ、頷いて部屋に入った。


レイズ「疲れたなぁー…アリアハンって城は見えてるのに、ほんと岩山が邪魔だよ…」
アルム「…ほんとだよね、モンスターにも何回も襲われるし…って、あれ?」
クラリス「…?…どうしたの、アルム?」

このレーベまで来て、アルムは急に何かを思い出した。それがこの世界に来て、心にあったもやもやの正体だった。

アルム「どうしてアリアハンまでは歩くんですか?ルーラで行ったらダメだったんですか?」
アレク「ああ…そのことね…」

アレクはなんとも気恥ずかしそうな苦笑いを浮かべている。しばらく言うか否か迷っていたが、やがて口を開いた。

アレク「情けない話なんだけど、もうアリアハンには、ていうかこっちの世界には3年以上来てなくって…どんなお城だったか忘れちゃったんだ。僕もクラリスもね」
クラリス「ええ…すごく賑やかなところで、ラダトームより広いって記憶は残ってるんだけど…どうにも自信がないから…失敗して、訳の分からない所に飛ばされるよりマシでしょ?」
アルム「それは…ふふっ…そうですね」

なぜか笑いが込み上げ、わずかに吹き出してしまうアルム。それはやがて5人の大きな笑い声に変わっていった。
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