Chapter 23-8
アルム「すごい…これ、何ですか?」
その荘厳さに押されたのか、アルムの声はわずかに小さかった。
ラルド「お前は何だと思う?」
アルム「分からないですけど…なんか神聖な場所のような感じはします」
ラルド「なるほどな。その答えに半分ほどは点をやってもいい。ちなみにユリス、お前は知っているだろう?一度は通っているはずだからな」
ユリスはコクリと頷く。しかしこの場所に来たことがないアルムのために、ラルドは手短に説明した。
ラルド「ここはラダトームの南東にある、精霊の祠と言われる場所だ。精霊がいると言われている場所にして、2つの世界を繋ぐ重要な関所でもある。あのキース=クランドがこの道を開いたとして有名だな」
最後のフレーズを聞いて、アレクとクラリスは気付かれないようにクスリと笑った。
アルム「ということは、ここから向こうの世界に行けるってことですよね?」
アレク「そうだよ。旅の扉だね、まとめて言えば」
ラルド「そういうことだ。では、行くとするか」
ラルドを先頭に、祠に入っていく六人。階段を上ると、アレクの言うとおり青く渦巻く大きなものが見えた。その光景にまた圧倒されるアルムだったが、今はあまりぐずぐずしてもいられない。
クラリス「しばらく、この世界とはお別れね」
そう言うと同時に、クラリスは一番に渦巻きに入った。残りの5人も、次々と渦巻きに飛び込むように入っていった。
◇◇◇
旅の扉を抜けると、一転して周りは薄暗く、どうやらどこかの洞窟にいるらしかった。アルムが旅の扉をくぐり終えた時、最初に入ったクラリスは既にレミーラを唱えて5人を待っていた。彼女のおかげで、壁にぶつかったりちょっとした段差に躓いたりという、地味に痛い目に遭わずに少しばかりうろつくことができた。
ラルド「とりあえず洞窟を出よう。クラリス、頼めるか?」
クラリス「任せて。じゃあ、みんな集まって!」
自分の周りに全員が集まったのを確認して、クラリスはリレミトを唱えた。
◇◇◇
眩しい太陽の光が、アルムたちに降り注ぐ。広がる草原を見渡して、アルムは思った。
ついにやって来た。何もかもが新鮮な、初めての地を今自分は両の足で感じている、と。吹き抜ける風も大変心地がよい。ずっとここにいたら微睡んでしまうほどだった。
ラルド「あそこに大きな城が見えるだろう?あれが南の大国アリアハンだ。とりあえずあそこまで行くぞ、岩山を迂回するからかなりの距離だ。準備はいいな?」
アルム「もちろんです!」
レイズ「僕もいつでもいいよ!」
ユリス「頑張ります…!」
ラルド「よし、では出発だ!」
ラルドの大きな声とともに、彼らはアリアハンに向けて1歩ずつ歩いていった。