Chapter 23-4
アルム「ラルドさん、ぼくたちはいつごろ出発するんですか?」
早く出発したくてたまらないといった様子で、アルムはラルドに尋ねた。ラルドはちらりと時計を見たが、まだ10分も経っておらず、思わず苦笑した。
ラルド「落ち着け、アルム。早く出たい気持ちは分からないでもないが、焦りは禁物だ。二手に分かれたということは、途中で追いついては意味がないということだ。我々はここで昼食を済ませてから発つぐらいがちょうどいいだろう」
そう諭すように言って、ラルドは椅子に深く腰掛け直した。アルムは「そうですか…」と少し落ちた声で呟いた。どうにも退屈でならないようで、しきりに立ち上がってあちらこちらをうろついていた。
ラルド「…アレク、クラリス、ちょっと。他の3人は、少しの間この部屋でゆっくりしててくれ」
不意にそう言って、ラルドが2人に手招きをした。特別心当たりもなく、さらに唐突な呼び出しに、不思議そうに顔を見合わせながら、アレクとクラリスはラルドに従っていった。
パタンとドアが閉まる音が消えると、聞こえるのはアルムの落ち着かない足音だけになった。
レイズ「…アルム、ちょっと落ち着いたらどう?」
アルム「…全然だめだよ、落ち着こうとしても落ち着けないんだ」
ユリス「…なら、今ラルドさんたちが出て行った理由でも考えてみない?」
アルム「理由…?」
別に気にもかけなかったことの理由を考えようと言われ、アルムは一瞬困惑した。が、他にやることもないので、それを考えてみることにした。
レイズ「ラルドさんがあの2人を呼んだよね。ってことは、2人が知らないことを伝えようとしてるんじゃない?」
ユリス「そうかもしれないわね。だけど、そうだとしたら出発の直前に言う必要があることになるんじゃないかしら?」
アルム「うーん…何だろう?どうやって行くか、とか相談してるんじゃない?」
レイズ「かもね。それとか、ちょっと寄り道したい所があるとかさ」
ユリス「いずれにしても、この旅に関係のあることでしょうね…」
そんな勝手な推測を基に、3人はどんどん話し込んだ。
しかし―――実際、ラルドが2人を呼んで話したことは、とてつもなく大きな新事実だった。