Chapter 23-3
アルム「…はぁーっ…すごいですね」
話を聞き終わると、アルムは長い息をついて簡潔に感想を述べた。
ラルド「そうでもない。ともすればお前たちもこの先、これ以上の経験をするかも知れないしな」
アルム「そうかも知れないですけど…」
レイシア「2年も1人で、寂しくなかったんですか?」
ラルド「いや、私は孤独を求めたんだ。16という年齢を考えてくれたらと思うがな…。毎日誰かと顔を突き合わせて、屋敷のみんなには気を遣われる。その日々に嫌気がさしたから、ここを飛び出した。それから2年経って、仲間の大切さを教えてくれたのがここにいるみんなだ。この教習所をスタートできたのも、彼らがいたからだ」
ラルドの一言一言に、何とも言えない重みのようなものがアルムには感じられた。いや、アルムだけではなく、他の3人、そしてセイファーとレイズも、あるいは同じ思いを持ったかも知れない。
ディル「さてと、長話も終わったとこで、そろそろ出発すっか!」
キット「そう言いたいのですが、その前に少し提案があります」
ラルド「提案?」
キットは「そうです」と頷いた。最も年上の彼の言うことなので、ラルドもそれなりに信頼しているらしい。
ディル「何だよ、また俺の頭痛がどうのって言う気か?」
キット「そうではありません。せっかく11人もいるんですから、先発組と後発組に分かれたら良いのではないでしょうか?全員で固まって行動すると、不測の事態への対処が遅れます。その点、分かれていれば行動に小回りが利きますし、この面子なら戦力的にも分割して問題はないと思いますが」
そうキットが説明すると、あちこちから納得したような声が聞こえた。
クラリス「なるほど…確かにそれは一理あるわね」
アレク「うん、キットの言うとおりだよ。よし、じゃあ僕は後発組でサポートするよ」
ラルド「では私も後発組に回ろう。5人、6人の組がちょうど良いはずだ」
しばらく先後発の組分けを議論した結果、先発組にディル、キット、セイファー、レイシア、リズが、そして後発組に残りが分かれることになった。
ディル「じゃ、一足先に行ってくるぜ!」
ラルド「ああ、出来たらサマンオサで落ち合おう」
そう言葉を交わし、ディルたちは出発した。いよいよ、ロエン救出に向けた、世界を越える旅がスタートした。