Chapter 21-13
セレイス「まだ君の前にはたくさんの道が広がっている。そのどれを取るにしても、ゆっくり進んでいったらいいんだ。今やってることが終われば、少しは光が見えてくるかも知れない。アルムの年で将来を1つに決めるのは、早すぎると思うよ」
アルム「………」
セレイス「だから、今は迷わず進めばいい。分かれ道に来たときにどれを取るべきか、その時の自分には簡単に分かる。僕にはその分かれ道が無かっただけの話なんだ。だから、気にすることはないよ。今はまだ、毎日が楽しい12歳でいいんじゃないかな?」

セレイスは言葉の途中に何度か遠くを見たり空を見たりしながらも、最後はアルムに向かって微笑んでいた。アルムはセレイスの話を聞いて、少し励まされた気がした。

アルム「そう…ですよね、ありがとうございます。とりあえず…この旅を無事に終わらせなくっちゃ、ですよね」

ようやくアルムの表情に明るさが戻った。12歳の少年らしい笑顔がそこに見えた。

セレイス「うん、そうだよ。別れたみんなとも早く会いたいしね。頑張って、旅を続けよう」
アルム「…はい、頑張ります!!」

アルムはこの日一番の笑顔で、セレイスにそう返した。

◇◇◇

ちょうどそれと同じ頃、ベラヌールの宿屋の一室。

???「…やはり、彼はもうこちらにはいないようですよ」
???2「そうか…けど行くしかねえだろ、俺たちだけでも…」

2人の男が、何かについて話をしている。この2人は、口調から察する通りシェルトとゼクトルである。

シェルト「しかし…私としてはディル、あなたの頭痛が気になります。その原因が分かって、それが治まってからでないと、あなた自身も危険ですよ。現に一昨日の夜はずっと頭を押さえていましたし、今日だって戦闘中に起こって大変だったじゃありませんか」
ゼクトル「分かってるよ…それに俺だって原因を知りてえ。けど、俺はあいつが心配なんだよ。俺はどうなってもいい、あいつを救い出さねえと、俺は一生後悔するんだ。ちょっと頭が痛いからって子供みたいな理由で、あいつを見放すわけにはいかねえんだよ」
シェルト「ディル…」

ゼクトルの目から、言葉では語れない何かを感じ取ったシェルト。私の負けです、シェルトはそう呟いた。

シェルト「…分かりました、行きましょう…!」
ゼクトル「ああ、絶対見つけ出してやるぜ…!」

2人はそう言うと、宿屋も町も出て、外の闇へと消えていった。
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