Chapter 1-6
ゼクトル「よし、俺たちも庭に出るぞ、ついて来い!」
ゼクトルはそう言うと、足早に部屋を後にした。遅れないように、小走りでついて行こうとするアルム。が、他の3人は走ろうともせず、普通に歩いていた。仕方なく、アルムも3人に合わせて足を止めた。
◇◇◇
庭に出ると、ゼクトルが待ちかねたように手招きをしていた。
ゼクトル「お前ら、遅いぞ!ただでさえ時間が少ねえんだからな、俺が担当の時は素早く動け、いいな?」
アルム、ユリス、リズは「はい」と返事をしたが、タアは一言も発しなかった。ゼクトルが諌めるように「タア、お前もだ、いいな」と繰り返すと、タアは渋々「ああ」と返した。
ゼクトル「お前たちのことだから、剣や槍との付き合いも長いだろ。だから、基本的な説明はなしだ。お前たちには、まず最初にあれをやってもらうぜ」
そう言って、ディルが指差したのは、大の大人2人分を軽く上回るほどの大きさを持つ、巨大な岩だった。
タア「は?あの岩をどうしろっつうんだよ」
ゼクトル「決まってんだろ、あれを真っ二つに割るんじゃねえか」
アルム「ええーっ!?」
アルムは飛び上がった。冗談も大概にしてくれ、そんな心境だった。何の訓練も無しに、いきなり馬鹿でかい大岩を割れる訳がない。そう考えていると、ゼクトルが付け加えた。
ゼクトル「ただ、あの岩は1つしかねえし、いきなりあのサイズはきついだろうから…」
そう言って、背中の剣を引き抜き、縦横に一閃ずつ。すると、大岩はきれいに四等分された。大体子供1人のサイズだ。
アルム「すごい…!」
ゼクトル「この大きさで勘弁してやるよ。とりあえず、この訓練中に割ってみせろ」
ゼクトルは脇に退き、4人の場所を作った。彼が見る中で、最初に動いたのはリズだった。