Chapter 21-11
所変わって、そこからやはり遠く離れたとある魔城の、以前とはほとんど何も変わらない部屋の中。怪しげな装置も相変わらず稼働し続けていた。
???「………」
それをじっと見ているのは、女ではなく小柄な男だった。そして、しばらく装置を見た後に小さくこぼす。
???「…何やってんだか」
???2「分かってるんでしょ?あんただって…」
声にはっとして振り向けば、いつの間にか男の背後には、「あの時」と同じ女がいた。
???「こりゃびっくりだ、オレが気づくことなく背後に立つなんて。いつもオレは立つ側なのに」
???2「わたしだって一応あんたと同列にいるのよ。立つ側の人間。それにこれが出来なきゃ、わたしもあんたもこの場所でこんなことをしていないはずよ」
???「ま、それは違いないけどな」
男は頭の後ろで手を組んでくつろいでいる。しかしその目は、再び装置に向いている。
???「…けどこんなもん作ったって、あいつの代わりにもならないだろうに」
???2「…代わり?代わりにするつもりなんて、さらさらないわ…」
女は装置まで歩いて来ると、慈しむようにその壁に手を触れた。
???2「これがあれば…わたしたちは全てを思いのままにできる…」
???「…お前、まさかこれを作るために奴と手を組んだのか?」
男は半ば驚いたような声を発する。女は背後から聞こえたそれに、ゆっくりと首を横に振った。
???2「いいえ…それは違うわ…。わたしは手を組んだ覚えなんて少しもない…。ただ…利用させてもらっただけよ…もう必要なんてない…」
???「何だって…?お前、本気で言ってるのか…?」
???2「そうよ…。でもまだ小さな仕事が残っているわ。彼を…わたしの所まで連れてくるっていうね…!」
???「………!!」
そう言って振り向いた女の笑みは、男にはひどく残忍なものに見えた。