Chapter 21-4
アルム「消えた…?」
アラン「行っちまったな。竜巻も消えたから間違いない」

アランの言葉でアルムは辺りを見回す。すると、先ほどまでは竜巻で見えなかった噴水や銅像が、しっかり目に映った。

アルム「でも…良かったんですか?」
アラン「ん?何がだよ?」
アルム「敵ですよ…逃がしちゃったけど…本当に良かったんですか…?」

心配そうなアルムに、アランは「ああ」と短く呟いてから答えた。

アラン「言ったろ?俺は街中でザクザクモンスターを斬るような趣味はねーんだよ。それに、ここで絶対に仕留めなきゃならない奴らでもなかった。口だけは達者だったけどな?」
アルム「口だけ…っていえば、あの2匹、しゃべれてましたけど…」
アラン「そこなんだよ。話せるモンスターがいるってことは、あいつらをまとめてる奴も人間か、人間の言葉を話せる魔族かになるだろ?少なくともそこらにいるようなモンスターが頭だったら、人間の言葉なんて必要ないわけだし。それが分かったから、ここは戦わずに一時的にでも休戦した方がいいって思ったんだよ」

アルムは目をぱちくりさせた。やっぱり、この人はただ者じゃない…!アルムはそう確信した。

アルム「…アランさん」
アラン「何だ?」
アルム「…ぼくも知りたいです」
アラン「…何を?」
アルム「あなたは…何者なんですか…?」

アランはアルムの質問が予想外だったのか、しばしの間不思議そうな表情をしていた。口を開きかけたその時、遠くから聞き慣れた声が聞こえてきた。

ルーナ「アルムーーー!!」
ルージャ「そんなとこで、何してるのーー!!」
アルム「…ルーナ、ルージャ!!」

2人はアルムの元へと走ってくる。アランは2人を見て、アルムに囁いた。
アラン「…あいつらは、お前の仲間か?」
アルム「はい、そうです」

ルーナ「もー、1人で何してたの?みんな探してたんだよ?」
アルム「ごめん、ごめん…いたたた!」
ルージャ「ほら、今からみんなで遊ぶんだから!」
アルム「痛い痛い、分かったから放してよ…!」

2人にさらわれ、声を上げるアルム。それを見ていたアランが、後ろから大きな声で「アルム!!」と呼び止めた。

アラン「お前の最後の質問だけどな…」
アルム「………?」
アラン「俺は、少し遅れてやってくる、情けないヒーローだよ!」

悪戯っぽい笑みを浮かべて、アランはアルムにそう言った。それから、思わず吹き出して「…ありがとうございました!」とお辞儀をしかけたアルムと、それを遮って彼を連れて行く2人をしばらく見送った後、アランは街の外へと歩いて行った。

アラン「また…会うだろうな…」
そう言い残して。
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