Chapter 20-7
さすがのセレイス先生も、きっと真剣に何か伝えたいことがあるんだろう、と思い、アルムはもう一度気を引き締めにかかったのだが、セレイスの言葉は予想外のものだった。

セレイス「アーロン先生はああ言ってるけどさ、そんなに硬くなる必要はないよ。君たちは、僕が命を賭けてでも守るから、心配しなくてもいい。さ、長いこと会わないよ、他の仲間たちと話してきたらどうだい?」

何を言われるかと思えば…。正直アルムは拍子抜けした。その時、タアが相変わらず鋭い表情で言った。

タア「…あんた1人で、現れる敵とかいうやつ全部に勝てんのかよ?」
セレイス「正直なところそれは分からない。むしろ、その自信はあまりないと言った方が近いね」
タア「そんなんで、本当にオレらを守れんのか?」

確かにタアの質問は的を射ている。セレイスはふう、と息を吐いて、タアの目をしっかり見返した。

セレイス「守ると言ったら守るんだよ。不安なら、君も手伝ってくれれば嬉しいけどね。僕は、変に気を遣い合わずに旅をしたい。昔みたいにね…ほら、ルーナたちを見習ってごらんよ」

言われてタアは、ちらりと2人を窺った。ルーナとルージャは、他の生徒たちに話しかけて回っていた。が、アルムにとって、先ほどのセレイスの言葉には1つ引っかかるフレーズがあった。

アルム「…昔?先生も昔、旅をしてたんですか?」

思わず、アルムは話に割って入った。するとセレイスはこちらを向いて、話し始めた。

セレイス「そうだよ。僕だけじゃなく、他の4人もみんな過去に旅をしている。だから、旅の仕方はみんなよく知ってるよ。心配しないで」

その言葉を聞いて、アルムは少し安心した。セレイスは「君たち2人には話しておこうかな」と言い、タアとアルムを呼び、耳打ちをした。

セレイス「今回僕たちがやることは、世界中の国を回って、何か異変がないかを調べること。実習だから、ルーラは使わないけどね。簡単だから、そんなに気にしなくていい。ただ1つ、今回の旅には遊びは入ってないことだけ、頭に置いておいてね」

アルムとタアは同時に頷いた。

セレイス「ルーナ!ルージャ!そろそろ出発するよ!」

2人が走って戻ってくる。そうして、5人は屋敷を出て、ルプガナの町を歩き、いよいよその町の外へと足を踏み出した。
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