Chapter 20-3
それと同じ頃、先生たちも5人集まって会議を開いていた。
アーロン「シートルには酷かも知れないが、何よりもまず私たちは、来週の最終実習を無事に終わらせる必要がある」
ゼクトル「…おい、けどそれじゃロエンがあんまりじゃねえか?元々俺たちの責任なんだから、あいつにあれ以上苦しめって言うのはそれこそ鬼だろ…!」
シェルト「確かにそれは一理ありますね。シートルくん自身の命に関わることかも知れませんしね。ただ…」
セレイス「僕たちが動いたとき、そのことが敵に知られたら、間違いなくロエンは人質の妹を…!」
こちらも考えることは同じであったが、珍しくメリーはアーロンと同意見だった。
メリー「…私たちは、ロエンを全力で救い出す必要があるわ。でも…他の12人のことも背負ったまま、ロエンを必死で探して助けることが出来るかしら?」
ゼクトル「それは…言われりゃそうかも知れねえけど、俺はその意見には賛成できねえ。俺たちはあの頃、確率や安全を考えて動いてたか?困ってる奴がいたら真っ先に助けようとしたし、暴れ回ってる奴がいたら速攻ぶっ潰しに行ったろ?」
ゼクトルは頑として、自分の意見を言い張った。とそこに、シェルトが割って入った。
シェルト「ちょっと待って下さい。私たちは討論をしているわけではないんですよ?もう一度現状を整理して、冷静に考え直し、ベストの選択をする必要があるのではないですか?」
さすがは最年長。シェルトはまた、実に落ち着いている。そして再び話し合いをした結果、アーロンが最後に全員の意見をまとめた。
アーロン「ディルとキットがシートルを探しに行くんだな?」
ゼクトル「ああ、俺は何があっても探しに行くぜ!」
シェルト「最終実習には教師が5人も不要ということなので、私も行かせて頂きます」
アーロン「分かった、じゃあまず2人は、シートルの居場所と黒幕について調べてくれ。あくまで秘密裏にだ」
ゼクトルとシェルトは、1つ深く頷いた。
アーロン「私とアレクとクラリスは、最終実習の同伴だ。これでいいか?」
セレイスとメリーも真剣な表情で頷いた。
そして―――それから1週間が経過した。