Chapter 19-10
翌日から、訓練も試験も終了して、何もやることがなく平凡で退屈な日々が続いた。この1年間の総決算とも言える、最終の実習は来月に予定されており、それまで生徒たちは自由に行動してよいことになっていた。しばらく時間があるので、各自が帰省したり個人的な旅行に出たりしても良いのだ。そこでアルムはこの機会に、一度訪れたかったロト三国(ローレシアは一度訪れているのだが)を回ることを決めた。

ルプガナからロト三国付近に船が出ている先は、ローレシア港かムーンペタ港だ。サマルトリアとムーンブルクは内陸部にあるため、港が無いのである。その一方でロト三国を陸路で結ぶ鉄道はあったので、アルムはローレシア港に向かうことにした。ローレシアがどれほど緑を取り戻しているかも気になるが、それ以上に「旅」という実感が彼を興奮させていた。

そんな風に旅の計画を練っていたのだが、どうやらそれがセリスにばれたらしく、彼は「その旅行に付き合うぜ」と、ニヤリと笑って言った。

◇◇◇

セリス「…すげー。もうここまで戻ってんのかよ」
アルム「うん、ぼくもびっくりした…。まだ砂漠みたいなままだと思ってたのに…」

城下町に直結している港に降りてみると、そこ一帯にわずかながら緑が戻っており、以前のような殺風景さは感じられなかった。元々は雨が決して少なくない地域だったこともあるかも知れない。実際、この日もここにはパラパラと小雨が降っている。

セリス「で、プランニング通りだとここでとりあえず1泊すんだろ?」
アルム「うん、そのつもりだよ。今日は勇者の泉に行って、ここに戻ってくる予定なんだ」
セリス「勇者の泉?まあ、俺は別にいいけど…勝手について来たんだし」

そうして2人は、ローレシアの北に位置する勇者の泉へと向かった。その道中には、もちろんモンスターも現れるわけで。

アルム「ドラゴンキッズにスライムナイト、おばけねずみ…。やっぱり、雨の日は飛んでるモンスターはあんまり出てこないみたいだね」
セリス「ああ、アーロン先生の言う通りだな。しっかしあの先生は何でも知ってるよな…さすがって言うか何て言うか…また来たぜ!呪文注意だな…!」

今度現れたのは、魔道士が2匹。2人は呪文に警戒しつつも、すぐ武器を構えた。
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