Chapter 19-5
アルム「そうだ、タアたちは、試験どうだったの?」

移動の途中、まだ他の2組の結果を知らないアルムは割と自分から近くを歩いているタアにそう聞いた。するとタアはわずかに口ごもった。

タア「…いや、1回は勝ったっちゃ勝ったけどよ…オレは何もしてねぇ」
アルム「…えっ?」

タアが何もしていないということは、エドたち3人で勝ったということではないか。それを信じられないアルムは思わず声を漏らした。

アルム「…それってどういう…?」
タア「…オレはあんな勝ち方認めねぇ、つーかサシでやらせろっつーんだ」

さっぱり訳が分からない、アルムがそんな顔をしていると、これまた近くにいたゼクトルがそれに気づき、話に入ってきた。

ゼクトル「俺が見に行った時、ラルドはエドたちに囲まれてめちゃくちゃやられてたぜ?」
アルム「………(全然分からない…)」
ゼクトル「やっぱ分かんねえか、エドがあいつを眠らしたんだよ」
アルム「………」

アルムは言葉を失った。というよりは言葉が出てこなかった。「なんだよ、そんな勝ち方ありかよ!」とセリスが隣で喚いている。タアは眠った相手を叩きまくることなど出来ず、かと言って3人を止めるのも面倒なので黙って見ていたという。

アルム「でもそれじゃ…評価がつかないんじゃ…」
タア「ちゃんと仕切り直したっつーの。…けどまともに攻撃できねぇ。あいつらがクソ邪魔だったっつーんだ」

口から出かかった「えっ、タア負けたの!?」という言葉を、アルムはどうにか押さえ込んだ。そうこうしているうちに、部屋に到着した。

アルム「この部屋は…」
レイシア「私たちが最初に入った部屋だわ…」
ルーナ「ここでみんなと知り合ったんだよねー♪」

彼らが入った部屋は、教習所生活初日に待合室として使われた部屋だった。あの時と違うのは、12台の机が整列されている所だ。その机全てに、羽ペンが1本ずつ置いてある。

セリス「まさか…嘘だろおい?」
シェルト「フォードくん、残念ですが、あなたの予想は的中していますよ。呪術学は、呪文等に関する知識を試す筆記試験を受けてもらいます」

机に突っ伏すセリスや、普段見せない引きつった表情のタア。アルムはいくつか珍しい光景を目にすることができた。

シェルト「それでは…はじめ!」

まだぶつぶつ呟いているセリスを横目に、アルムは試験問題に取りかかった。
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