Chapter 1-2
庭へ移動するアーロンと13人の生徒たち。その庭では、14人という大人数もかなり少なく見えた。

アーロン「いいか、戦術学は全員が受ける科目だ。そのため、1人でも足を引っ張る者がいれば、他の全員に影響が及ぶことを忘れず、訓練に励んでくれ」
一同「はい!」

生徒たちの顔つきが変わった。やはり、ここに来ただけあって、訓練となると真剣そのものだ。

アーロン「この科目で教えることは、実際の戦闘でその局面に当たった時にどう対処すべきか、そして仲間と行動する時はどのように連携を取るのか、ということだ。まずは初歩的な戦術から順に教えていく」

アルムはアーロンの話を一言も漏らさず聞いていた。アーロンは言葉を切ると、タアに向かって言葉を投げた。

アーロン「…分かるか、戦いに関して1人で育ってきた者は、仲間との連携の取り方を知らない。それを知ることが、個々の更なる技術の向上につながる。レジェンド、しっかり話を聞いておけ」
タア「っ…」

タアがアーロンに視線を戻す。彼は武器である大剣の状態を確認していたようだが、アーロンには見えていたようだった。

タア「…何で仲間なんかと一緒にいて腕が上がんだよ」
アーロン「…私自身が、最たる証明だからだ。それでは訓練に移る」

アーロンはぴしゃりと言って、タアから視線を外した。

アーロン「…では1対1から教えよう。自分1人で敵1体に出会った時、まずやるべきことは何だ?フォード、答えてみろ」
セリス「えっ…俺?えーと…速攻で敵を倒す?」
アーロン「そう答えると思っていた」

アーロンはそう言うと、少し間を置いてセリスに目を向けて話した。

アーロン「確かに、速く倒すに越したことはない。しかし、それは相手の正体が分かっていたらの話だ。つまり、相手に勝てる確証がある時でなければ、この戦術は成立しない」

ああ、と気づいたようにうなずく生徒たちもいる。アーロンは全員を見渡し、続けた。
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