Chapter 19-1
それからちょうど1週間後、12人の生徒たちが全科目の最終試験を受ける日がやってきた。いよいよ教習所での生活も終わりに近づいてきた。12人も、この日ばかりは集中しているようだった。
この日の朝、先生たち5人はある部屋に集まって、最後の準備をしていた。
アーロン「できることなら、13人で受けさせてやりたかったが…」
セレイス「…そうだね、1人でもいないっていうのは何か辛いよね…」
この日までに、彼らは懸命にロエンの行方を探した。しかし彼は未だに見つからないでいた。
メリー「今は、12人の試験について考えるべきだわ。その後に考えても遅くはないはずよ」
ゼクトル「…だな。あいつなら無事だ、きっとな…!」
シェルト「ええ、私たちは、今すべきことをしましょう」
そう話しながら、彼らは準備を進めた。
◇◇◇
アーロン「初めに言っておくが、この試験に合否は存在しない。お前たち一人一人の成長を見るのが目的だ。力の全てを出し切ってくれ」
一同「はい!!」
アーロン「では、初めに戦術学の試験を行う。4人1組で、私と戦ってもらう」
突拍子のない言葉を飲み込むまでに、アルムは数秒を要した。
アルム「えぇっ、ぼくたちが先生と戦うんですか!?」
アーロン「その通りだ。私が教えてきたことを活用して、私に戦い方を見せてくれ。ちなみに場所は裏庭だ。試験を受けるグループ以外はここで待機すること。ちなみにグループはどう決めても構わない」
どう決めても構わない、と言われても、アルムが組む3人はもう決まっていた。
セリス「さーて、いっちょやってやろうぜ、アルム!」
ルーナ「あたしも頑張るからさっ♪」
レイシア「私たち4人の力を、アーロン先生に見せてあげましょ!」
そう微笑む3人に、アルムははっきりと頷いた。初日にたまたま寝部屋を同じくしてから、長い間一緒に過ごしてきた彼ら。自分の人生には偶然が多々あると聞いたことがあるが、あれは本当なのだろうか。そんなことを思いながら、アルムはセリスたちと一緒にアーロンに従った。
アーロン「…よし、では始めるとしよう。こちらはいつでも構わん…かかってこい」
アーロンはそう言うと、自らの剣を抜き、構えた。
アルム「ぼくたちならやれる!みんな、行こう!」
セリス・ルーナ・レイシア「おーっ!!」
4人も各々の武器を構える。戦術学の最終試験が、ついにスタートした。