Chapter 17-11
翌朝、シェルトがアンナとアリュードを連れ、ルプガナに飛んだ。この2人をルーラでルプガナに連れ帰り、アーロンらがアルムたち3人だけを連れてベラヌールの祠に現れるという巨大な敵を倒しに行くために、シェルトは同行していたのだと言う。アーロンたちの目を盗んでキメラの翼を買う時間(隙とも言えるが)も無く、彼らは徒歩でルプガナに戻らねばならない。何者かに狙われているので、一般人と乗組員もいる船には乗れない。渡し舟はことごとく嵐に沈み、残ったわずかには7人も乗れない。そのため、完全な陸路を採ることを余儀無くされ、ベラヌールの祠を避けては通れないのだ。

アルム「…やっぱり戦うのかぁ…」

アルムは元々、さして戦いを好む性格ではなく、相手がいくら凶悪な魔物と言えども、その生命を奪うことにわずかな抵抗を感じている。それはいくら「迷いを断ち切れ」と言われたところで、本人にとっては到底無理な話のようなのだ。

そんなアルムと対照的なのがタアである。出発を控えた先ほどから、もう剣を出してやる気満々といった感じだ。

タア「へっ…何でも来やがれってんだ、虫の息にしてやらぁ!」

レイシアはというと、ちょうどその中間といった感じで、待っている戦いを嫌ってはいないが多少の不安を感じている、そんな様子だった。それでも、「自分が負けるかも知れない」という風ではなく、その眼には自信が表れていた。

アーロン「よし、それでは出発しよう。セイファー、レイズ、お前たち2人も一緒に戦ってくれないか?」
セイファー「はい、もちろんです!」
レイズ「精一杯頑張ります!」
タア「…ガキじゃねぇか、戦力になんのかよ?」

タアが呆れたように言うが、それをアーロンは一蹴した。

アーロン「戦力にならないならば、ここにはいない筈だが?」
タア「ちっ…まあいいぜ、お前らオレの足は引っ張んなよ」

そう言うと、タアは剣を背中にしまってさっさと歩いて行ってしまった。

ゼクトル「…やれやれ、相変わらずだな。悪いな2人とも、気にしないでやってくれ。…ったく、俺に言わせりゃお前が足引っ張んなバカ野郎、だぜ」

そうぼそっとゼクトルに囁かれ、2人は曖昧に苦笑せざるを得なかった。
「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -