Chapter 17-9
セイファー「あっ、皆さん初めまして。ボクはセイファー=ラルハートです。ちょっとしたきっかけでアルムと知り合って、それから仲良くさせてもらってます」
ゼクトル「…ずいぶんしっかりしてんな。頼りになるんじゃねえの?」

セイファーは少し照れながら、ゼクトルに「ありがとうございます」と礼を言った。それからアルムに向き直って、あることを告げた。

セイファー「それで、キミたちの乗ってた船なんだけど」
アルム「すごい揺れてたんだよね…あの後どうなったの?」
セイファー「うん、それがさ…キミたちがルーラで抜け出してから、ぴたりと船の揺れが止まって、周りの波も静かになったんだ。レイズも同じことを言うはずだよ。…あっ、レイズっていうのはボクの友達です」

セイファーの話を聞いていたアーロンは、これで分かった、というように息をついた。

アーロン「外部犯で決まりだな。しかもそいつらの狙いは、間違いなく私たちだ…」
シェルト「そういうことになりますね」
アルム「そうだセイファー、アリュードたちは?」
セイファー「ああ、あの2人なら、宿屋にいるよ。今はレイズが見てる。行ってあげて」
アルム「そう、ありがとう!」

アルムが宿屋に向かって走る。その後をレイシアが追いかけ、タアはゆっくり歩いていく。アーロンはそれをしばらく見ていたが、やがてセイファーの方に顔を向けた。

アーロン「セイファー…といったか?貴重な情報、感謝する。それでもし良ければ…今後も私たちに協力してくれないか?2人の天使にお願いだ」
セイファー「!!!」

言葉の最後を聞いた途端、セイファーは驚き慌てた。

セイファー「し…知ってたんですか?」
アーロン「知ってたも何も、発せられている聖気と、沖で揺れている船を見ることが出来たということが証拠だ。もっとも、あの3人にはまだ聖気を感じ取ることは出来ないだろうが…」

アーロンの説明に、後ろの2人も驚くことなく頷く。彼らも既に分かっていたのだろう。

セイファー「…はい、ボクで良かったら協力します。きっとレイズも力になってくれると思います」
アーロン「ああ、頼んだ。それでは私たちも…」
シェルト「そうですね、宿屋に行きましょう」

アーロンとシェルトは宿屋に歩いていったが、ゼクトルだけはしばらくの間そこで動かずにいた。

ゼクトル(あいつ…まさか生きてたって言うんじゃ…いや、そんなはずはねえ…)

何かを考え込みながら、彼はゆっくりと足を進め始めた。そんな彼を、セイファーは無言で見つめていた。

セイファー「………」
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