Chapter 17-8
アーロン「待たせたな…ディル、また頭痛か?」
戻ってきたアーロンが、ゼクトルにそう尋ねる。まだ痛みの余韻が残っていたゼクトルだったが、「ああ…でも収まった、大丈夫だ」と返した。
アーロン「そうか…何にせよ、頭痛の正体が分かるまでは気をつけた方がいい。では、行くとするか」
アーロンはそう言って、キメラの翼を放り投げようとした。が、それをフェアルが止めた。
フェアル「…待って!」
アーロン「…どうした?」
フェアル「この先…私がいると危険な気がするの。私はみんなと違って戦えないから…せめて迷惑はかけないように、ここに残ることにするわ」
フェアルの言葉に、アーロンは小さく頷いた。
アーロン「なるほど、確かにそれは正論だな。それじゃ、ここに戻っている生徒たちのことは任せたぞ。長く連れ回して悪かった」
フェアル「ううん、気にしないで。こっちは任せておいて、しっかり見ておくから。じゃあみんなも気をつけてね!」
アーロン「ああ…それでは、出発するか。みんな準備はいいな?」
5人が頷く。それを見たアーロンが翼を放り投げる。ふわり、と体が宙に浮き、気がつけばベラヌールの町が眼前に広がっていた。
アルム「あれっ?あれって…セイファーじゃない?」
アルムは前方を指差した。そこには、確かにセイファーの後ろ姿があった。彼はこちらに気がつくと、安心したように走ってきた。
セイファー「ああ、アルム!良かった、無事だったんだ!キミたちが乗った船がすごい揺れてたから、ボク心配したんだよ?」
アルム「そうだったんだ、ありがとう!みんな無事だったから安心して」
笑顔のアルムに、セイファーは安心して頷いたようだった。
アーロン「無事の再会に水を差して悪いが…レンバート、その少年は誰だ?」
セイファーとは初対面のアーロン―――彼だけではなかったが―――は不思議そうな表情をしていた。セイファーはそれを見て、1つ丁寧なお辞儀をした。