Chapter 17-7
光線がたどり着いたのは、ルプガナの屋敷の前だった。7人全員が体勢を崩していたので、うまく着地は出来なかったが。
シェルト「…申し訳ありません。とっさのことでしたので、この屋敷しかイメージ出来ませんでした」
アーロン「いや…全員助かっただけでも良しとすべきだ。ベラヌールへは、また飛び直せばいい」
服の土を払い、アーロンは立ち上がった。
シェルト「そう…ですね。分かりました、ではまた私の近くに…」
シェルトが皆を集めようとするのを、アーロンが制止した。
アーロン「キット、もう止めておけ」
シェルト「…どうしてです?」
アーロン「多人数を運ぶのは、体力と精神力を激しく消耗すると聞いた。それを連続で使うことには、賛成出来ない」
最後に「アレクとクラリスも口を揃えるはずだ」と付け加え、アーロンは反対した。
ゼクトル「けどよ…どうやってベラヌールまで行くんだ?まさか歩いて行くのか?」
アーロン「いや、生徒たちも…私たちも、山道で体力を消耗している。出来れば無駄な労力は省きたい。少し待っていてくれ」
そう言うと、アーロンは町の方に歩いていった。
アルム「…あ、そっか」
レイシア「どうしたの?」
アルム「キメラの翼だよ、先生はそれを買いに行ったんだ、きっと」
レイシア「そうだろうけど…大丈夫かしら?この先…私たち、狙われてる気がするのよね…」
タア「………」
シェルト「…レジェンドくん、どうかしましたか?」
2人が話す横で黙っているタアに、シェルトが声をかける。
タア「いや…誰が犯人なんだ、って思ってな。見つけたら、半殺しにしてやる」
ゼクトル「ははは…それでこそお前だよな!よし、俺も加勢して…ぐっ!?」
タア「…っおい!?」
ゼクトルが声を詰まらせる。またしても、あの頭痛が彼に襲いかかってきたのだ。
シェルト「ディル、大丈夫ですか!?」
ゼクトル「ぐあっ…くそっ、何なんだこれは…ぐああっ!!」
しばらく頭痛との闘いが続いたが、やがてそれは引いたようで、ゼクトルは息を整えて頭を押さえた。
シェルト「大丈夫ですか?少し休んだ方が良いのでは…」
ゼクトル「………いや、俺なら大丈夫だ」
しばらく間を空け、ゼクトルは答えた。その時、町の方からアーロンが戻ってくるのが見えた。