Chapter 17-6
アーロン「えらく冷えるな…雨でも降ってきたか?」
ゼクトル「…いーや、快晴もいいとこだ。雨雲なんざ見当たらねえぜ」

船室の窓から外を確認し、ゼクトルは答えた。

ゼクトル「けど…確かにやけに寒ぃな。何でだ?」
シェルト「嫌な予感がしますね…何も起こらなければ良いんですが…」
アーロン「それはさすがに無いはずだ…海の状態だけなら最高の航海日和だぞ?」

アーロンがそう言った瞬間、シェルトの言葉通り何かが起こった。


ガタン!!


アーロン「!!!」
ゼクトル「おわっ、何だ!?」

突如、船体が大きく左右に揺れたのである。アーロンたちは急いで甲板に上がった。風は、無い。しかし揺れは収まらない。その理由は、どうやら海のようだった。

無風かつ快晴にも関わらず、波が高くなっていた。いや、そうではない。よくよく見てみると、波が起こっているのは船の周りだけで、それを沈めんとばかりに船体に襲いかかっていた。

ゼクトル「なっ…何なんだよ、この不自然な波は…!」
シェルト「私、生徒たちを見てきます!」
ゼクトル「あ、ああ、任した!」
アーロン「状況から見て、これは明らかに外部犯だ…一体誰の仕業だ?」

甲板の中央に立ち、振り落とされないように低く姿勢をとる2人。ものの数十秒で、生徒たちも甲板に上がってきた。

アルム「何ですか、この揺れ…!?」
レイシア「いきなり船が…きゃあっ!!」
フェアル「レイシアちゃん!!」

また大きく船が傾く。レイシアが海に向かって滑り落ちていく。船縁にしがみつき、何とか海に投げ出されるのを逃れたが、今の生徒たちに全力で踏ん張る力が残っていない以上、ここに留まり続けるのはかなり危険だった。

シェルト「非常事態ですね…脱出しましょう!皆さん、私の近くに!」

船が激しく揺れる中、どうにか全員が集まる。

シェルト「くっ…ルーラ!!」

7人を光が包み、一筋の光線となって飛んでゆく。どうにか、彼らは船という地獄の孤島から、無事に脱出しおおせた。
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