Prologue-8
アーロン以外の4人の先生は、まだ部屋に残っていた。レイシア、ルーナ、アンナは同じ性別ということもあるのか、先生の中で唯一女性であるメリーの近くに行って彼女と話していた。同じようにロエン、セリス、アリュードはセレイスと話している。
アルム(どうしようかな…部屋を見に行こうかな?)
そう思っていた時、後ろからぽんと肩を叩かれた。振り向くと、ゼクトルが自分を見下ろしていた。
ゼクトル「いい剣持ってんじゃねえか、お前の剣の腕を見てみたいぜ」
アルム「あ、ありがとうございます」
ゼクトル「ああ。ん…?おいおい、何だあのデカい剣は…」
ゼクトルは後ろにいたタアの背にある大剣を見つけ、彼の近くに歩いていった。
タア「………」
ゼクトル「すげえ剣だな。これを完璧に使いこなせるなら、かなりの力だぜ?」
タア「…オレは7歳の時からこれ握ってんだ、使い方ぐらい頭に叩き込まれてるぜ」
ゼクトル「そうか、なら大丈夫だな。今度、お前の剣の腕も見てみたいもんだぜ」
そう言って、ゼクトルは部屋を出て行った。その時、後に残ったタアが舌打ちをするのを、アルムは聞き逃さなかった。
◇◇◇
レイシア「すごい…こんな広いの…!?」
ルーナ「うれしいな、あたしこんな部屋で寝てみたかったんだ♪」
2人がはしゃぎ気味なのも、アルムは納得がいった。それほど広く、立派な部屋だったのだ。
セリス「寝る部屋も一緒になっちまったな。まあ、これから色々とよろしくな」
レイシア「今日1日で何回「よろしく」って言ってんのよ…」
アルム「あはは、そう言われてみればそうだよね…」
ルーナ「でもあたし、こんな生活嫌いじゃないよ♪」
それからしばらくの間、4人は他愛のない話で盛り上がった。
セリス「おっと、もうこんな時間か。そろそろ寝るか」
レイシア「そうね。それじゃみんな、おやすみー」
アルム・ルーナ「おやすみー!」
アルムはぼんやりと暗い天井を眺めていた。教習所での生活が、いよいよ始まる。期待に胸を膨らませるアルム。果たして、新しい時代の幕開けとなるのかならないのか、それはこの時点ではまだ誰にも分からない。
〜続く〜