Chapter 15-15
その後、丘からの眺めと心地良い風を暫し楽しんだ4人は、昼食も揃ってとり、予定通りやってきたラダトーム行きの船に乗り込んだ。

アルム「アランさん?」
アラン「ん、何だ?」
アルム「アランさんは…どうしてそんなに強いんですか?」
アラン「強い…?俺がか?」

「そうです」と頷くアルムに、アランは「うーん…難しい質問だな」と考え込んだ。

アラン「俺は自分が強いなんて思っちゃいないから、何て答えたらいいのか分かんねーな。俺より強い奴なんて、他にいっぱいいるだろ?」
アルム「例えば…?」
セリス「そりゃ、まずキースさんは絶対だろ。あの人が世界最強に決まってんだから」
アルム「そっか、そうだよね…って、どうかしたんですか?」

セリスがキースの名を口にした時、アランが深く頷いて笑ったので、アルムは不思議がった。

アラン「そうなんだよな、世界の頂点に立てる奴はたった1人だけだもんなぁ。まあ俺はそんな高い所に立つのは嫌だけどな…高所恐怖症だし」
セイファー「それ…本当ですか?」
アラン「嘘だよ。高い所は別に平気だぜ」

4人の笑い声が、狭い船室に響き渡った。

◇◇◇

アラン「じゃ、俺はここで!」
アルム「あれ、今日は「飯食いに」行かないんですか?」
アラン「さっきお前らと食ったろ、そんなに俺を太らせたいか?」
セリス「はいって言ったらどうします?」
アラン「船酔いして食った分吐き出してやるぜ」

別れ際にも冗談が飛び出し、彼らに笑いは絶えなかった。アランを乗せた船はそのまま、水平線の向こうへと沈んでいった。

アラン「…こっから先、頑張れよ…!」

アランは離れていくペルポイを見つめて、そう呟いた。そんなことを知らない3人は、いよいよすぐそこに迫った最後の目的地、ペルポイへ意気揚々と歩いていった。


…ところが、この時一体誰が予想しただろうか?

実習のゴール地点であるはずのペルポイが、これから始まるアルムたちの冒険のスタート地点となることを…。


〜続く〜
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