Prologue-6
その青年の表情を目にした瞬間、アルムは言葉を失った。大きな体に鋭い目つき、そして何よりその威圧感。背中には重たそうな大剣を背負っており、周囲を圧倒する「気」を放っていた。
アルムは直感した。これが本物の戦士だ、と。今まで隣近所の子供より出来が良く、強いと言われてきたけど、やっぱり自分は井の中の蛙だったと。
アルムは青年から目を離せずにいた。いや、アルムだけではなく、他の何人かも同じだった。
???7「…何だよ、オレの顔に何か付いてんのか?」
アルム「い、いや、何も!あの、ぼくはアルム=レンバートっていうんだけど…よかったら名前を…」
???7「…タア=レジェンド」
そう短くつぶやき、青年はアルムを一瞥すると、部屋の隅の椅子にどかっと腰掛けた。ふと部屋の入り口に目を向けると、少女と少年がいた。
???2「えっと、全員そろったみたいなので、移動します。ついてきて下さい」
ぞろぞろと部屋を出る生徒たち。慌ててアルムも立ち上がり、皆に従った。
◇◇◇
部屋の何もかもが新しかった。一期生になるわけだから、当然といえば当然だが。
???「どこに座ってもいいです。とりあえず、先生たちが来るまで待ってて下さい」
そう告げて、少年と少女は部屋を出て行った。途端に、エド、ルージャ、ノイルが騒ぎ出す。相も変わらずの元気っぷりだ。
アルムの隣にはレイシアが、そして2人の後ろにはルーナとセリスが座っていた。
ルーナ「たまたま近くに座っちゃった。これからよろしくね」
アルム「うん、ぼくの方こそよろしく。先生って、どんな人かな?」
レイシア「どうかしら…私はどんな先生にもついて行く自信はあるわ」
セリス「厳しい先生だったら、俺パス。アルム連れて訓練抜け出して…」
アルム「なんでぼくまで…」
◇◇◇
少年「ラルド、これでいいんだよな?」
ラルド「ああ、手を貸してくれて助かった。じゃあ、セル、ルイ、お前たちはもう自由にしていてくれ」
セル・ルイ「分かった!」
そう言って2人はラルドたちと別れた。既に分かっただろうが、アルムたちを案内していた少年と少女の正体はセルとルイである。
◇◇◇
部屋では、楽しげに話を続けていたアルムが不意に口を閉ざした。ちょうど部屋の扉が開き、先生らしき人が5人ほど中に入ってくるところだった。