Chapter 14-4
アリュード「………」
ユリス「…すごい」
リズ「………」
タア「…何だあいつ」
4人は唖然としていた。誰もが、ブランクのあるアルムの剣の腕はさほど高くなってはいないと考えていた。しかし、実際は違った。アルムの剣の腕は、彼らとほぼ同じぐらい、いやそれ以上の速さかも知れない―――で上達していたのだ。
その証拠に、ゼクトルが無作為に投げた5個の木の実全てをしっかり斬っている。4人はかなり回数を重ねていた訓練だったが、アルムは1回目にして成功させた。
ゼクトル「絶好調じゃねえか!心配はなさそうだな!」
ゼクトルに肩を叩かれ、アルムは少し嬉しかった。が、この後当然質問攻めに遭うわけで。
アリュード「すごいよ、アルム!どうしてそんなに上手なんだい?」
ユリス「ずっと訓練出てなかったのに…どうして?」
タア「お前、最近何してたんだよ?」
アルムにとってゼクトルとの個人指導は秘密訓練だったので(真っ昼間に行っているのにまだ気付かれていないのが奇跡的なのだが)、アルムは返答に困るのだった。
◇◇◇
この日の全訓練が終わって、アルムはどこかすっきりした気がしていた。久々の剣術学だったが、やはり自分には剣が合っている、と感じた。。もちろん、覚えた呪文は無駄ではないはずだということは分かっていたが。
アルム「でも…やっぱり剣の方が楽しいや!」
アルムは屋敷に入ろうと扉に手をかけた所で立ち止まった。
アルム(あれは…アーロン先生と…ユリス?)
庭の隅の方に、2人の姿が見えた。何かを話しているようだ。しばらくすると、2人は移動を始めた。そして、アルムの場所からは死角となる方に消えた。
アルム(気になる…見に行こう!)
少し悪い気はしたが、一度気になってしまうとなかなか頭から離れなくなる。アルムは2人が歩いて行った方へと走っていった。