Chapter 14-3
その足で、ゼクトルたちのいる場所に向かう。少し遠目に彼らの姿が見えてくる。こちらから見る限り、訓練は行われているようだ。途中で入っていいものか悩んだが、どちらにせよここで立ち往生していても時間の無駄なので、ゼクトルたちの所に行こうとアルムは考えた。
…しかし、踏ん切りがつかない。数分躊躇していると、後ろから声がした。
セレイス「どうしたんだい?君は今、誰よりも強いはずなんだ。大丈夫だよ」
そう言うと、ぽんとアルムの肩を叩いてセレイスは戻っていった。ちらりとセレイスの言葉の意味を考えたが、分からなかったのでアルムは意を決して走り出した。
◇◇◇
ゼクトル「剣のトップスピードを上げろ!特にタア、その剣で十分なスピードが出せるようになったら、お前は敵なしになるかもな!」
タア、ユリス、リズ、そしてアリュード。4人は自身の武器でひたすら攻撃の動作を繰り返していた。ユリスが使う槍の場合は、より速く矛先を突き出せばいい。同じことである。
ゼクトル「アリュード、もうちょい右腕を上げろ!リズ、いい感じだぞ…っと、やっと帰ってきたか!」
ゼクトルの言葉の最後の部分を聞いて、4人はぴたりと手を止める。そしてゼクトルの視線を追うと、アルムがこちらに走った来るのが見えた。
アリュード「アルム!」
ユリス「…戻って来たんだ」
リズ「………(コクリ)」
タア「…何しに来たんだよ、あいつ」
アルムはゼクトルのそばまで走って来た。そして、ゼクトルにこう言った。
アルム「…遅れて…ごめんなさい」
4人はアルムを見た。それからゼクトルを見た。すると、ゼクトルはアルムを見下ろし、少し笑ってこう言った。
ゼクトル「…遅刻だぜ、アルム。さあ、早く準備しろ!」
アルム「…はい!」
自身の不安を掻き消されるように、ゼクトルたちに温かく迎え入れられたアルムだった。