Chapter 10-14
ルージャ「…ごめん。ボク、嘘ついてた」
ノイル「………?」
ルージャ「ずっと一緒に遊んできて…ボクはキミに嘘ついちゃったんだ。最低だと思ってくれてもいいよ」
ノイル「そっ…そんなことどうだっていい!渡すものが何だか知らないけど、さっさと渡してよ。ぼく、早く寝たいんだ」
そう言いながら、ノイルの心は苦しかった。なぜ意地を張ってしまうのか。ノイルにその答えはまだ見つけ出せなかった。ノイルの言葉を聞いたルージャは、一層声のトーンを落として呟くほどの声でいった。
ルージャ「…これ」
ルージャはそれだけ言って、大きな袋をそのままノイルに渡した。ずしりと重い感触が、ノイルの両手に、体に伝わってきた。
ルージャ「…ノイル、キミの鎌を売ったのは、嫌がらせなんかじゃないんだ。ボク、一生懸命お店の手伝いを頑張ったんだけど、それでも足りなかったからなんだ。これだけは本当なんだ、信じて!でも…もうあの鎌のことは、多分どうでも良くなると思うから…。それじゃ、おやすみ」
ルージャはそう言って、ふらふらと廊下を歩き始めた。
ノイルはルージャの最後の言葉ではっとした。もしかして、これは…!ノイルの予感は的中した。袋の中に入っていた大きな包みを開くと、そこにはきれいな光沢を放つ鋭い刃を持った、かなり値の張る高級鎌の姿があった。その瞬間、ノイルの中の何かが、ガラガラと崩れた。
ノイル「ルージャ!!」
廊下を曲がろうとするルージャを呼び止め、ノイルは彼の元に走った。
ノイル「それじゃあ…最近ルージャがいなかったのは、お店に働きに行ってたから…?」
ルージャ「…うん。親切なお店のおじさんが、うちを手伝わないかって言ってくれて…」
ノイルの目には自然と涙が浮かんだ。そして、発せられた涙声に、もう怒りの色はなかった。
ノイル「なんで…なんで言ってくれなかったの…」
ルージャ「だって…言ったらプレゼントにならないじゃんか…」
ノイル「…ルージャ、ありがとう。それから、ごめん。分かってなかったのはぼくの方みたいだ」
ルージャ「ノイル…ボクの方こそごめん」
ノイル「うん。じゃあ…ルージャ、一緒に寝よう?」
ルージャ「………うん!!」
ようやく2人に笑顔が戻った。その様子をこっそり窺っていたアルムは、心の中で呟いた。
仲直りできて、良かったね…。
〜続く〜