Chapter 10-12
アルム「…エド。この喧嘩、止められるかも知れないよ」
エド「…えっ?」
アルム「…あの2人、喧嘩しちゃったことを後悔してるよ、きっと」
そう言うと、アルムは表の庭の方に歩いて行った。彼の言葉の意味を理解出来ないまま、エドは首を傾げた。
◇◇◇
ルプガナの夜は、しんと静まり返っている…わけではない。最近はこの町も栄えており、夜でも人が行き交う交易都市に成長した。その町の店の前に、1人の少年が立っていた。
???「まだ足りないんだ…」
*「あと20ゴールドだけどねぇ。うちも商売だからね、ごめんだけど」
店主と少年が話し込んでいた。どうやら少年が何かを買おうとしているようだ。すると、少年の後ろから声が聞こえた。
???2「20ゴールド…はい、ぼくが貸してあげるよ」
???「えっ…アルム!なんで…」
少年に声をかけたのはアルムだった。そして、アルムが声をかけた少年が誰かはもう分かるだろう。
アルム「…きっとここにいると思ってたよ。ノイルにプレゼント…でしょ、ルージャ?」
ルージャ「…べっ…別にそんなんじゃ…」
ルージャは声を落として否定するが、それは最早肯定以外の何物でもなかった。
*「うん、きっと喜ぶんじゃないか。ほら、持って行きな」
ルージャ「…ありがとうございます!」
店主が差し出した新品の鎌を、ルージャは大事そうに抱えて笑った。
◇◇◇
エド「なぁ…ノイル、寂しいんじゃないか?」
ノイル「…だ、誰が!あいつがいなくなってせいせいするよ!」
エド「そっか…(とか言っといて、部屋に鍵をかけないんだもんなー…)」
エドには分かっていた。ノイルは、心の奥底でルージャが戻って来るのを待っているのだということが、そして…彼と些細な喧嘩をしたことを悔いているということが。