Chapter 10-2
レイズ「そう言うなら…あのまま放っておいてくれたら良かったのに…」
セイファー「そんなこと…出来るわけないじゃないか!」
レイズ「だってそうだろ…?もう…僕に居場所はないんだから…」
セイファー「そんなことは…ないよ。ちゃんと話せば、みんなも分かってくれる…」

セイファーの優しい言葉に、レイズは言い返すのをやめた。その代わり、こんな言葉が出てきた。

レイズ「…ごめん…本当にごめん…」
セイファー「いいよ。もう終わったことなんだから。レイズが無事でいてくれたら、ボクはそれでいいよ」
レイズ「僕…」
セイファー「知ってるよ。あの教習所に…行きたかったんでしょ?」

レイズははっとしてセイファーを見た。セイファーは笑って、「やっぱり」と言った。

セイファー「キミはずっと教習所の様子を気にしてたよね。それで、ちょっとでも様子を探りたいから、地上に来た。ボクたちは翼を隠せば、普通の人間にしか見えないからね。でも、そのことを知った誰かが、キミを騙してこの塔に連れて来た。…違うかい?」

レイズは一言も出せなかった。セイファーの言ったことが、何もかも完璧に当たっているからだ。それこそ、ずっと後ろについて見ていたかのように。

レイズ「なんで…そんなに分かったんだ…?」
セイファー「…そんなの簡単だよ」

セイファーは笑顔でこう答えた。

セイファー「だって…ボクたちはずっと一緒にいた親友でしょ?」
レイズ「もう、僕は君の親友でいられない。君を…他のみんなを、全てを裏切ったんだから」

レイズは首を振ってそう返す。しかし、セイファーもまた首を横に振る。

セイファー「そんなこと、関係ないよ。レイズはレイズ。これからもずっとボクの親友なんだから」
レイズ「セイファー…」

小さく「ありがとう…」と言って、レイズは再び涙を流した。そのレイズから、先ほどまで感じられていた邪気はもう完全になくなっていた。

セイファー「さっ、具合が良くなったら帰ろう?ボクたちの世界に」
レイズ「………うん」

2人は笑い合った。元に戻ったレイズの翼も、今は元気に動いていた。
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