Chapter 9-16
なおも続く剣撃の応酬は、ついに空中戦に発展した。決して、互いに相手の攻撃を全く受けていないわけではない。2人の顔に、体に、傷ができていく。
セイファー「くっ…!」
レイズ「この…!」
両者互いに譲らない戦いが続く。しかし互角でも、徐々に追い詰められてきたのか、ついにレイズが底力を見せてきた。
レイズ「ふざけるな…僕は…僕は、お前なんかに負けるはずがない!!」
セイファー「うわああっ!!」
レイズの放った一撃が、ついにセイファーを捉えた。もはやセイファーに、素早く動く力はほとんど残っていない。
レイズ「はぁ、はぁ…これが力の差なんだよ、分かったか…!」
レイズが息を切らしながら、勝ち誇ったように呟く。その瞬間、彼の腹にまっすぐ飛んできた矢が刺さった。
レイズ「ぐあああっ!なんだこれは…!」
矢の方向に目を向けたレイズが見たのは、まっすぐこちらを見据えたエドだった。エドの狙った位置に、矢は見事に刺さった。
エド「おれもいることを忘れるなよ!さあ、早くスラリンを返せ!」
レイズ「まだ言ってるのか!いい加減に諦めたらど…なん…で…お前!!」
レイズが驚愕の表情を浮かべた理由、それはアルムが無傷で立っていたからだ。
アルム「セリスにもらった薬草が、まだ残ってて良かった。ぼくは…絶対にきみを倒す!」
レイズ「くっ…」
アルムは剣を構えると、再びレイズに向かっていった。レイズは最初のように素早く行動出来ない。
アルム「くらえ、火炎斬り!!」
レイズ「ぐっ…うわあああっ!!!」
アルムの渾身の一撃は、見事レイズに大きなダメージを与えた。力を失い、翼の動きが止まったレイズはそのまま地面に落ちた。アルムたちは、強敵に打ち勝ったのだ。
セイファー「アルム…エド…ありがとう。これで…レイズも元に…!?」
セイファーは目を見開いた。起き上がったレイズには、何の変化もなかったからだ。
レイズ「…っはは…っははは!!」
セイファー「レイズ!!」
そしてレイズは狂ったように笑い出し、塔をつなぐ橋の方に走り出した。そのすぐ後を、セイファーが追う。
アルム「ぼくたちも追いかけよう!」
エド「あっ、ああ!」
2人も、レイズとセイファーを追って橋の方に走った。