Chapter 9-15
レイズ「(バカなやつ…間合いに入った瞬間たたき斬ってやる!)」

レイズは向かってくるアルムが、自分の剣の間合いに入るのを待つ。それに構わずアルムは突っ込む。そして―――

ザシュッ!!

アルム「………」
レイズ「…うあああっ!!」

レイズが悲鳴を上げた。アルムはレイズの間合いに入ることなく、その外ギリギリから剣先だけを当てたのだ。レイズの体からも、セイファーと同じように血らしきものが滴る。

レイズ「…へえ…びっくりだよ。まさか君にそんな技術があったなんてね…」
アルム「どんどん…行くよ!」

アルムは一気にレイズを攻め立てた。しかし、そう簡単に倒せるほど、レイズは甘い敵ではなかった。

レイズ「甘い!」

とっさのタイミングで、レイズはアルムの懐に入った。そして、彼が防御の体勢をとる前に、その剣でアルムの腹部を切り裂いた。

アルム「うああああっ!!!」
エド「アルムー!!」

みるみるうちにアルムの服が血に染まってゆく。その場に倒れ込んだアルムに追撃を加えようとしたレイズの前に、セイファーが立ちはだかった。

セイファー「おまえの本当の相手はボクだ、レイズ!」
レイズ「君じゃ僕には勝てないよ…。ま、相手してあげるけど、その前に…マホトーン!」

レイズが唱えた呪文封じは、アルムのホイミを封じてしまった。これでは、回復ができない。

レイズ「これで邪魔はなくなった…いたちごっこにはうんざりだからね…」
セイファー「そんな心配、する必要はない。ボクが、今ここでおまえを倒す!そして…」

セイファーはレイズを悲しげな表情で見据えた。

セイファー「元に戻して…天界に…おまえを連れて帰る!」

レイズは一瞬、目を見開いた。その後、声を上げて笑い出した。

レイズ「…っははは!!よく言うよ!僕の方が強いのは証明済みだろ?」
セイファー「それはどうかな!」

セイファーはそこまで言うと、レイズに剣を振り下ろした。レイズも落ち着いて剣で受け止める。再び2人のせめぎ合いが始まる。しかし、さっきとは何かが違う。レイズはそのことに気づいていた。

レイズ「こいつ…!」

どうやら、追い詰められて力を増すのは、人間に限らないようだ。セイファーは今確実に、レイズと互角の勝負を繰り広げていた。
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