Chapter 9-13
セイファー「…この先に、きっとレイズがいる。ボクのことは考えないで、思い切りレイズを攻撃してくれて構わない。2人とも、ボクに力を貸して!」
セイファーの言葉に、アルムとエドは強く頷く。そして、そのまま最上階への階段を駆け上がった。
そこは、前に来たときと何ら変わっていなかった。ただ一つ、今日はモンスターを寄せ付けるようなものは焚いていない。そして、アルムたちの前には、激しく見覚えのある少年の姿。
アルム「いた…!」
レイズ「また来たの…あれ?セイファー、こんな所で何をしてるんだい?」
セイファー「レイズ…惚けるな!攫ったスライムを返してもらう!」
レイズ「スライム…?いやだよ。あの方の実験の道具なんだ、無理な話だね」
エド「ふっ…ふざけるな!何が道具だ!スラリンはおれの―――」
レイズ「言っただろう?」
レイズの一言が、エドの言葉を遮る。
レイズ「僕は、君たちみたく暇じゃないんだ。用事がないなら、さっさと帰ってくれるかい?」
セイファー「いい加減にしろ!…やっぱり口で言っても分からないみたいだな!」
セイファーはその手に、光る剣を握っていた。そして、その切っ先を真っ直ぐレイズに突きつける。
レイズ「…この前は、君たちを傷付けはしなかったけど…今日はそうはいかないよ。邪魔者は排除しろって言われてるからね…」
アルム「やれるものなら…やってみろ!」
アルムとエドも、武器を構える。それを見たレイズが立ち上がり、何かを呟き始めた。すると、彼の背中に、セイファーとは正反対の、真っ黒な翼が現れた。さらにその手には、これまた真っ黒に光る剣が。
レイズ「…行くぞ!」
そう叫ぶや否や、レイズは真っ直ぐアルムに向かってくる。それは予想以上のスピードだった。
ガキィッ!!
ギリギリの所で、自らの剣に救われた。しかし、レイズの攻撃はまだ終わっていない。
レイズ「凍ってしまえ!ヒャダルコ!」
無数の氷の塊が、かなりの速さで飛んでくる。その時、後ろから声が聞こえた。
セイファー「2人とも、避けて!ベギラマ!」
セイファーは高熱の炎を放った。放たれたそれは、レイズのヒャダルコを完全に相殺した。それを見たレイズは、口元を僅かに上げて、不気味に微笑した。