Chapter 9-5
ルーナ「わー、これいいかも!ね、これどう?」
アルム「(ぼくファッションは苦手なんだけどな…)に、似合ってるんじゃないかな?値段はどう?」
ルーナ「380ゴールド…うーん、結構高いなぁ…」
まだ10歳ほどの者にとって、380ゴールドというのはバカに出来ない値だった。結局、ルーナは安めの動きやすい服を買ったのだが、その目を盗んでアルムはあるものを買っていた。
*「ありがとねー!」
道具屋から出てきた彼が持っていたもの。それは、2枚のキメラの翼だった。
ルーナ「アルムー!帰ろーよー!」
少し離れた場所で手を振るルーナに、アルムは慌てて「ちょっと待ってー!」と走り出した。その時…
ドンッ!とアルムの体に衝撃が走り、思わず尻餅をつく。十分に前を見ていなかったので、町の誰かとぶつかってしまったようだった。
アルム「あっ、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
???「…おいおい、吹っ飛んだのはお前の方だろ?お前が大丈夫かよ?」
アルムがぶつかったのは若い男だった。男はアルムを立たせると、上から下まで眺めて、「大丈夫そうだな。安心したぜ」と言った。もう一度「すみませんでした」と謝ろうとした時、アルムは男の顔に見覚えがあることに気付いた。
アルム「…あれ?もしかしてあなたは、前にぼくを助けてくれた人ですか?」
???「ん?あっ、お前確かでかいドラキーマに襲われてたヤツか?偶然だな、また会うなんて!」
アルム「あの…お名前、やっぱり教えてくれませんか?」
???「…俺の?」
短い問いに、アルムはこくりと頷いて返した。
???「…俺の名前はアラン。アラン=ディークだ。ま、覚えるような名前じゃないさ。じゃ、俺そろそろ飯食いに行くから。ぶつかって悪かったな!」
若い男―――アランはそう言うと、急いでいるのか、走り去っていってしまった。
ルーナ「…今の人、誰なの?」
アルム「えっ?ああ、今の人は…」
アルムは森での一件をルーナに話した。
ルーナ「そうだったんだ!偶然だね、また会うなんて!」
アルム「そうだね、でも…あの人どこに住んでるのかなぁ?」
そんな素朴な疑問を抱えつつ、買い物を終えた2人は屋敷に戻っていった。