Chapter 9-4
アルム「………」

何もかもを吸い込むような青空に、所々ぽつりぽつりと浮かぶ雲がゆっくりと流れていく。このゆるやかに流れる時間の中にいると、アルムの脳裏にはふと、自分の生まれ育ったベラヌールの町が映し出された。故郷を出てきて数ヶ月が経ったが、両親は元気にしているだろうか。友達は仲良くやっているだろうか。ここに来る前、友達とはずいぶん遊んだけど、不思議と剣で負けることはなかった。確か教習所に出発する前にみんな「絶対お前を追い抜いてやる!」なんて言ってたっけ。そんな思いが、頭の中を駆け巡る。

ゼクトル「アルム、お前今昔のこと考えてたろ?」

不意に横から入ってきたゼクトルの声に、アルムの視界は再び青空へと切り替わった。そして、言い当てられたことに驚いた。

アルム「なっ、何で分かったんですか?」
ゼクトル「バカ、こういう時は嘘でも違うって言うもんだぜ?ま、お前の顔見てたらよく分かったんだけどな」

あれ?顔に出てたんだ…。アルムはそう思い、ポーカーフェイスを装ってみたが、今更である。

ゼクトル「もう遅えだろ…。よし、そろそろ始めるか?」
アルム「あっ、はい!お願いします!」
ゼクトル「よし、任せろ。お前ならすぐにマスター出来るはずだぜ。まずは…」

◇◇◇

ルーナ「あれ?アルム、どこにいたの?」
アルム「えっ、ああ、裏庭だよ。ちょっと先生とね」
ルーナ「なんだ、そうだったの。またいなくなっちゃうんじゃないかって、心配しちゃった」

個人指導が終わった後、アルムはルーナに会った。どうやら探してくれていたようだ。「ありがと」と言うと、ルーナも「んーん」と笑って返した。

アルム「大丈夫だよ。ぼくはいなくなんてならないから」
ルーナ「だよねっ!じゃあ…ね、ちょっと町に行かない?新しい服を買いに行きたいんだ♪」
アルム「あ…うん、いいね!行こう行こう!」
ルーナ「ほんとに!?ありがと!じゃ、しゅっぱーつ♪」

そうして2人が町に向かう様子をセリスが偶然見つけ、「アルムやるなぁ、あの歳で…」などと茶化すのだが、当然アルムたちには聞こえるはずもなかった。
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