Chapter 9-3
セレイス「…うん、そう!もちろん大歓迎だよ!明日から一緒に頑張ろうね!」
アルム「はい、ありがとうございます!」
セレイスを発見して事情を伝え、次の訓練から編入することを願ったところ、セレイスは快諾してくれた。セレイスの親切心のためにも、明日から一生懸命頑張るぞ、と意気込んで、アルムは次の訓練である呪術学を受けに向かった。その背中を見送って、セレイスは小さく呟いた。
セレイス「アルムって…2年前の僕に似てるよね…」
◇◇◇
シェルト「いいですか?自分自身で強く念じるのです。中途半端な思いでは、どんな呪文も成功しませんよ!」
呪術学で練習しているのは、守備力増強呪文、スカラ。実戦ではなかなか需要が高い呪文だけに、習得できればかなり楽になる。が、やはりそう簡単にはいかないようで、一発成功などということはまず有り得なかった。
シェルト「レンバートくん、呪文を詠唱している間は、全身の力を抜いた方が良いですよ」
的確なアドバイスのおかげで、この訓練中に1回だけではあるが、アルムはスカラを成功させた。
◇◇◇
セリス「今日も終わったなぁ…ってアルム、お前飯食うスピード速くねーか?」
慌てたように昼食を掻っ込むアルムに、セリスは目を丸くしていた。アルムが急ぐ理由はもちろん、ゼクトルとの個人指導のためだ。「ごちそうさまっ!レイシア、ありがと!!」そう言い残して、きれいに食べきったお椀を重ねると、アルムは脱兎のごとく駆けだした。これには昼食を作ったレイシアも、そして横で同じ食事をしているルーナも、ただ唖然とするばかりだった。
◇◇◇
それから数分後。アルムは裏庭にいたゼクトルの元に駆け寄った。ゼクトルが退屈だったとばかりに伸びをしたので、アルムは待たせすぎたかと心配した。
アルム「…すみません、遅れちゃって…」
ゼクトル「気にすんなよ、大分速い方だぜ。ただ、わざわざ早く来てもらって悪ぃけど、ちょっと休憩しろな。でないと、お前飯食ったばっかだろ?腹痛くなるぜ、多分」
そんな事、すっかりアルムの頭からは吹っ飛んでいた。そしてゼクトルと笑いあうと、何分か時間をつぶそうと、アルムは草の上に倒れ込んだ。