Chapter 8-14
アーロン「…結局、この3人は休まずにドラゴンの角まで徒歩で往復したということか。全く、命知らずもいいところだな…」
川の字に横たわる3人にちらりと目をやり、アーロンはコーヒーを口にした。今夜はやるべきことが多々あり、眠気に屈するわけにはいかないらしい。
アルムはセレイスが、アリュードはシェルトがそれぞれ見つけて、ラリホーマをかけた。エドは廊下で力尽きて意識を失っているところをゼクトルが見つけ、運んできたようだ。
ゼクトル「こいつら…どうすんだ?」
アーロン「とりあえずここで一夜を明かさせて、明日皆に合流してもらう。まあ生徒同士のゴタゴタが起こらないとも限らないが、我々はそれに関わる必要は無いからな」
ぴしゃりと言い切って、アーロンは部屋を出ていった。他の4人も、それでいいと判断したのか、各自するべきことに取りかかった。
◇◇◇
翌日。
???「…ルム、………ード、エド!!」
3人を呼ぶ声。そして、体が揺すられる感覚。闇の中にあった3人の意識が、わずかに浮上した。
エド「………う…」
アリュード「ん…な…に?」
???「ほら、もう起きないと。シャワー浴びたいんでしょ、時間なくなっちゃうわよ!」
3人を起こしたのはレイシアでもなければ、ユリスやアンナでもない。3人にとっては驚くことに、メリーが起こしに来ていた。そのせいで、近くにいたメリーの顔が目に入った瞬間、アルムたちはガバッと起き上がった。
アルム「せっ…先生!?あれっ…ここ…どこですか!?」
若干声が裏返ったアルムにクスクス笑いながら、メリーは説明した。
メリー「ここは私たちの部屋よ。ちょっと色々あってね、ここで寝てもらったの。さ、服が汚れてるわ。シャワー浴びて、みんなと一緒に訓練受けてね!」
そう言われ、3人は階段を下りた。確かに立ち入り禁止の部屋にいたようだった。
エド「スラリン…」
エドの短い呟きを、アルムは聞き逃さなかった。
アルム「…スラリン、また探しに行こう」
エド「えっ…」
アルム「今は無理だけど、明日にでも。大丈夫、抜け出しても罰なんてなかったでしょ?」
エド「アルム…ありがとう…!」
エドの笑顔に、アルムは頷く。これはきっと、訓練よりも大事なことのはず―――。自分にそう言い聞かせて、アルムはシャワールームへと向かった。
〜続く〜