Chapter 8-13
この後、アルム、アリュード、そしてエドの3人が行方不明であることは、屋敷中に知れ渡った。気休めのつもりで屋敷を捜索してみても、もちろん3人の姿はなかった。

どこに行ったのか分からず、生徒たちはただアルムらが帰って来るのを待つことしか出来ずにいた。

◇◇◇

それから2日後の深夜。アルムたち3人は、ようやく屋敷に戻ってきた。あの後、疲労感とスラリンを取り戻せなかった落胆とで、往路のように走る気力は3人には残っておらず、3日間かけてルプガナまで歩いてきたのである。途中で何度となくモンスターの襲撃に遭ったようで、彼らの服には血がこびりついていた。

アルム「やっと…着いたよ…」
アリュード「もう…体が言うこと聞かないや…」
エド「おれ…もう限界だよ…」

特にエドは、精神的にも弱っていた。常に行動を共にしていた友達の危機に、自分は何一つ出来なかった。己の無力さを、彼らは改めて思い知らされた。

各自向かうべき場所は、1つしか無い。さっさとシャワーを浴びて眠らなければ、気が狂ってしまいそうだった。アルムは2人と別れた後、眠っているセリスたちに気付かれないようにタオルを取り、シャワールームへと向かった。が、事はそううまく運ばないのか、曲がり角でアルムはあろうことか、セレイスに出くわしてしまった。

セレイス「…アルム…?」

セレイスには悪いが、ここは強行突破するよりほかはない。アルムはとっさに、セレイスの脇をくぐって駆け出そうとした。ところが―――

ぐいっ。

見事にこの状況からの脱出は失敗に終わった。アルムの左腕は、がっちりとセレイスに掴まれていた。

気まずい沈黙が流れる。こんなことなら、素直に怒鳴ってくれた方が気が楽というものだ。何度かセレイスが口を開きかけるも、何を躊躇っているのか、言葉は発しない。それでも、短く「ごめんね」と呟くと、アルムが「え…?」と反応する間に既に呪文を唱えていた。

セレイス「ラリホーマ!」

疲労困憊のアルムは、そのまま無抵抗にセレイスに寄りかかった。力が抜けたその体を受け止め、セレイスはアルムを連れて「立ち入り禁止」の張り紙がしてある階段を上っていった。
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