Chapter 8-11
ゼクトル「よーし、始め…あれ?何か少ねえぞ?」

剣術学の訓練には、3人しかいなかった。アルムとアリュードはドラゴンの角にいるので当然といえば当然だが、彼らと同じ部屋の生徒がいないので、2人の動きを知る者はここにはいなかった。

ゼクトル「困ったな…まあ、どんな理由でも、あいつらのために訓練を遅らすことは出来ねえからな…。始めるか!」
ユリス「あの…先生」
ゼクトル「ん?」
ユリス「ちょっと…訓練抜けてもいいですか?別で用事があるので…すみません」

ユリスはそう言うや否や、ぺこりと頭を下げて走り出した。さすがに2人となっては、訓練は出来ないので、半ば諦めたように、「もう自由でいいか…」とつぶやき、ゼクトルはその場に寝転がった。

タア「どこ行きやがったんだ…」

タアは初めイライラしていたが、すぐにあることに気づいた。

タア(人数が少なくて…あいつも今フリーってことは…)

あいつとは、数メートル先で寝転がっているゼクトルのことだ。そう、今は邪魔もいない。自由と聞いた瞬間、リズまでもが屋敷内に戻ってしまったので、この場には生徒と先生が1人ずつということだ。タアはまたとないチャンスに、寝転がっているゼクトルの隣まで歩いていった。

ゼクトル「…ん?お前もこの時間は好きにしてて良いぜ?」
タア「ああ、そのためには、あんたが必要なんだよ」
ゼクトル「俺が必要?どういう意味だ?」

タアは「決まってんじゃねぇか」と、背中の大剣を抜いた。

タア「オレに…稽古つけてくれよ。どうせ訓練の予定だったんだろ?だったら良いじゃねぇか」

そう言ってゼクトルを見下ろすタア。

ゼクトル「個人指導ってわけか?」
タア「…ああ。そのつもりだぜ?」

ゼクトルは数秒の間空を眺めていたが、やがて起き上がり、確認とばかりに持っている剣を華麗に振り回した。

ゼクトル「―――いいぜ」

タアが驚く中、ゼクトルは重みを含んだ言葉を発した。

ゼクトル「相手がお前1人だからな、俺も全力で教えられるってわけだ…!ちゃんとついて来いよ…!」


タアたった1人の特別授業が、始まろうとしていた。
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「見えない臓器の名前は」
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